住民投票の時代
昨日は、神奈川大学の後期の最終講義でした。残すは試験、そして採点です。答案用紙の束が目に浮かびます。
昨日の政治過程論の講義では、佐賀県知事選挙を取り上げました。なぜ投票率が上がらないかという観点からです。
54.61パーセントでした。現職と共産党の候補が争った選挙より4.8パーセント低かったです。驚きの結果です。
前知事の古川康知事のあっと驚く衆院選への転出がありました。後釜に改革路線でならす武雄市長の樋渡啓佑さんが名乗りを上げました。
中央の官邸主導で進められる選挙の仕切りに対して地元の保守が反発しました。特に農協です。元総務官僚の山口祥義さんを擁立しました。
中央対地方の構図の保守大分裂です。話題性十分だと思います。しかし、有権者の関心を引き起こせませんでした。
年末年始で忙しい時期だったからという見方を地元紙は伝えていますが、本当の理由が何なのか今一つ判りません。
地元メディアは表面的な動きを追うだけでなく大学などと連携して話題満載の選挙なのになぜ投票に行かないのか探って欲しいです。
低投票率の中で山口さんは勝利しました。組織の勝利だと思います。強固な組織を有する農協の反発が強く結束したためだと推測します。
中央主導で擁立され改革が表看板の樋渡さんは浮動票頼りです。関心が高まらなかったところで勝負ありでした。4万の差は大差です。
当選した山口さんは、玄海原発再稼働、オスプレイの佐賀空港への配備について選挙戦の最中、ほとんど言及しなかったということです。
保守大分裂の騒動の陰に佐賀県が抱えている最大の争点が隠れてしまった格好です。県民の意思がどの辺りにあるのか不明です。
原発とオスプレイ反対を真正面から掲げた候補も出馬しました。しかし、保守二人の激突のあおりを受けて惨敗でした。
こうした状況からすると山口新知事は、原発問題とオスプレイの配備問題について有権者から一任を受けた状況とはほど遠いです。
この2つの重大政策課題について決断を下す場合、どこかで住民投票を実施し県民の意思を確認することが不可欠だと思います。
知事選挙は有権者の半数ちょっとの方しか投票に行きませんでした。山口さんは、そのまた半分しか得票を得ていません。
しかも、争点にならなかったのですから住民投票は必然のプロセスだと思います。住民投票の年齢を下げることも検討する必要があります。
住民投票といえば、今年5月17日、215万人の大阪市有権者による巨大な住民投票が実施されます。大阪府・市の解体再編がテーマです。
橋下徹市長が仕掛ける大阪都構想が遂に住民の判断に委ねられます。実現までの過程は不透明さが残りますが、住民投票で決着するのが筋です。
結果が大注目です。橋下市長は改革イメージを前面に押し出して反対する勢力を守旧派として糾弾するいつものスタイルを取るでしょう。
大阪市民は、煽られるのではなく冷静に判断して投票して欲しいです。大事なことは自分たちで決めるのが本来のあり方です。