治山治水の原点回帰

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(講演者 岸修二さん)

昨晩、横浜の開港記念会館でドイツの林業を学ぶ講演会がありました。会館は、木材がふんだんに使われていますのでぴったりの場所でした。

講師は、神奈川県寒川高校の理科の先生、岸修二さんです。大学時代の専攻は、地球物理で、高校でも物理を教えていました。

毎年、同じ内容の授業を続ける現状から抜け出て新たな分野に挑戦しようと40代後半に一念発起してドイツに留学し林業を学びました。

授業はカリキュラムが決まっています。同じ内容になってしまうのは仕方ありません。安定した職場に満足せず飛び出すのは大した心意気です。

日本の林業の現状とドイツとの違いにがく然とされました。森林の占める割合がトップのバーデン・ビュルテンベルグ州などで学ばれました。

日本は、森林と言えば直ぐにスギとヒノキを思います。いずれも木材として活用しやすい針葉樹林です。戦後、一斉に植林を進めた結果です。

一方、バーデン・ビュルテンベルグ州を例にとりますと、針葉樹林のトウヒが34パーセント、広葉樹林のブナが21.8パーセント。

広葉樹林のナラが7.1パーセント、針葉樹林のアカマツが5.6パーセントなどと針葉樹と広葉樹のバランスがとれています。

針葉樹林だけの森林は減少する一方広葉樹林は増えて現在州の森林の50パーセントにまでなっているということです。

利用しやすい針葉樹だけでなく広葉樹が増えている背景には、ワインの樽とか家具などに広葉樹を活用する多様な用途があります。

それと何といっても森林官による徹底した管理システムが存在します。森林に関わるすべての事柄を仕切る警察官のようだということです。

マネジメントをする調整官、造林や林道の管理を行う森林監視官、伐採などを行う普通森林官、林業技術士といった具合に職種も分かれています。

日本は林野庁と都道府県の役人が役所で管理する仕組みですので現場との距離感に相当の開きがりますし、きめ細かさが違います。

張り巡らされた林道の存在と高性能の機械化、厳密な等級の管理とそれを支えるIT化。日本との違いが際立つ分野だと言われてました。

急斜面でも操作が容易な材木の運搬機械の製造メーカーを聞いたら何と日本のコマツ製だったという笑えない笑い話もあったということです。

日本は本当に優れた技術を持っているのにそれを活かしていない象徴的な事例だと思いました。それと林道も広さが違うということでした。

岸さんの話を伺っていて何から何まであ然とするような違いがあり、もはや日本の森林再生は不可能なのではないかという気持ちにさせられます。

しかし、ドイツでも森林の伐採が急激に進み森が荒れまくった状態から今日の姿にまで戻した訳です。日本でもできないはずがありません。

無理だと諦めてしまうのが一番の害悪です。スギ、ヒノキ一辺倒だった林業を徐々に転換していく100年の努力を今始める必要があります。

私が住む神奈川県西部は森林地域です。山は荒れています。治山ができなければ治水もままなりません。治山治水の原点回帰が喫緊の課題です。