加熱する『21世紀の資本』ブーム

21世紀の資本

フランスの経済学者、トマ・ピケティ教授の分厚い学術書『21世紀の資本』ブームが日本でも加熱してきました、

26日付けの朝日新聞の2面にでかでかと広告が掲載されてました。著者の写真も載っていました。学者と言うよりは知的なスターの趣です。

出版社は、みすず書房です。地道な学術書で定評があるところです。このような派手な広告を打つのは初めてではないでしょうか。

現在の販売部数が13万部と書かれていました。728ページで5500円の本が10万部を1カ月で超えるなんて驚異的です。

この現状を見て日本の知的な読者層の厚みを感じました。数10万部は固く、『21世紀の資本』は、流行語大賞にノミネートされることでしょう。

私は、開成町の図書室が購入した『21世紀の資本』の借り手1番手でした。昨日が2週間の期限の日でいったん図書室に返しました。

かなり頑張って読んだのですが250数ページのところまででした。すぐにもう一度借りることができると思って安心していました。

ところが次の借り手の予約が既に入っていて連続して借りることはできませんでした。『21世紀の資本』ブームを実感しました。

何気なくお風呂のテレビをつけて教育テレビを眺めていたら何と『21世紀の資本』を経済学者が解説していました。

トマ・ピケティ教授の授業を直接放映していることも知りました。次回は今週の金曜日30日の夜11時からです。お風呂で聴きたいです。

いははや驚きの現象です。ピケティ教授は、1月下旬に来日し各地で講演の予定ですがいずれもあっという間に満席で受け付け終了です。

それだけ格差の問題に関心が高まっているということです。一部の富裕者による富の独占の実態とメカニズムを知りたいという欲求があります。

私が読んだ250ページ余りの範ちゅうでは、本丸のなぜ格差が生じるのかというところまでは行かず一歩手前のところです。

データがきちんと収集できるイギリスとフランスを軸に論じていますが日本を含めて先進諸国の実態を実証的に解明しています。

私が読んだ範囲で驚いたことが難点かあります。資本にせよ所得にせよわずかな増殖が時間の経過とともに膨大になるということです。

数字に強い人にとっては当たり前の感覚でしょうが私には目からうろこの感覚でした。1パーセントの伸びでも30年で35パーセントアップです。

小さな継続は大きな変化を生む訳です。目先の小さな変化であっても継続することによる大変革に内心衝撃を受けました。

もう一つはアメリカの資本蓄積の歴史を見た時です。アメリカ南部の資本の内訳に目をむきました。奴隷が資本の大きな割合を占めていました。

リンカーン大統領の奴隷解放宣言が1863年です。それ以前は、アメリカ南部の資本家にとって奴隷はモノとして取り扱われてました。

もう一つ、世界的に公的な資本の割合がどんどん減少しています。これは明らかにレーガン大統領、サッチャー首相らの新自由主義の影響です。

次に『21世紀の資本』を手にするのは2月の中旬です。それまでに優しい解説を良く読んで次の知的格闘に備えることにします。