大学の試験の採点しながら勉強できました。

神奈川大学の地域政治論と政策過程論の論文試験の採点終わりました。239人の答案を見るのに2日半かかりました。

地域政治論の選択する設問のひとつに財政破綻した夕張の再生についてを問いました。3人の答案がしっかりとした論理構成で90点を付けました。

講義では、夕張の財政破綻は、国や北海道の責任もあり、夕張だけの問題にしてはならないという議論を展開してきました。

私の基本的な考えを踏まえたうえで夕張の自覚を問うた答案でした。高校生の時、修学旅行で夕張を訪問した学生がいました。

夕張の復興を願って桜を植えたということでした。1年後に訪れたら草が生い茂り植えた桜がどこにあるのか判らない状態だったということです。

この学生は、いくら施策を行っても一つ一つを着実に推し進めなければ夕張の再生の道のりは長く険しいものになると結んでいました。

スコットランドの独立をめぐる住民投票と沖縄との関連を問う問題も出しました。双方の住民の草の根的な動きに着目した論文がありました。

この学生は、政府と沖縄の対話がないなら沖縄においてもいずれスコットランドのような独立を求める住民投票があり得ると結んでいます。

政策過程論では、「新しい公共」とは何か、具体例を引用して説明する問題を出しました。一読の価値ある論文が目に着きました。

「新しい公共」とは、住民自らが高い志を持ち、主体となって行動し行政や企業とも連携しながら創り出していく町づくりと捉えています。

学生たちが自ら事例を探し論じていたのに目を見張りました。学生たちも何か世のために役立ちたいという意欲があることがわかりました。

3人100点満点を出しました。論文で満点を出すのはなかなか難しいです。〇×試験みたいにピッタリ100点とは行きません。

論文試験で100点満点というには私自身が論文を読んでいて完全に脱帽する内容の時に初めてつけられます。

1人は、「新しい公共」というのは古くからの日本にあった支え合いと活気にあふれた社会を取り戻すことにあると定義して論じていました。

参りました。私自身が「新しい公共」という言葉に捉えられていました。よそ行きの言葉を使っても根が張った議論はできません。

もう1人は、「新しい公共」とは現在の資本主義の在り方を見直していく行動だと捉えていました。カネ儲け一辺倒ではない社会づくりです。

もう1人は長野県の小布施町で展開されている「まちじゅう図書館」構想について調査しまとめていました。

1人の図書館長の熱意がこの事業の原動力でした。大きな図書館は無理なのでカフェや郵便局や民家16軒の小さな図書館を作りました。

「小布施まちじゅう図書館」は、今や世界の図書館ランキングで6位だということです。小さな図書館の快挙です。

この答案を書いた学生は、図書館を通じて多世代の交流が起こり新たなコミュニティーを形成しており「新しい公共」の第一歩だと述べてました。

勉強になりました。小さくてもネットワークを作れば社会を変えられる典型例です。しかも住民の手作りですので素晴らしいです。