開成と文命で、町をPR。
(文命用水 農水省ホームページより)
昨年末、後援会を解散し選挙活動から離れ自由に動き回る余裕が出ました。そうなると不思議なもので色々と声がかかるものです。
日本の大きな課題の一つに地方創生があります。安倍政権も4月に統一地方選挙を控え予算を手厚く配分し力を入れています。
国会議員の方から勉強会を立ち上げるので参加して欲しいと呼びかけがありました。町長経験を活かせるので二つ返事で賛同しました。
永田町に出かけ初対面の国会議員の方とお会いするとまず最初に「開成町はどこにあるのですか、開成とは?」とたずねられます。
「神奈川県の西の端で小田原のすぐそばです。」と地理的な位置を説明します。続いて「開成とは何」を解説するのですが結構大変です。
中国儒教の古典から話を始めて易経の「開物成務」から町の名前をとったことを話します。聞いている方の顔つきが真剣になります。
「開物成務とは、人の知識を開いて務めを為すという意味で、教育という意味です。受験名門校の開成も同じ語源です。」
こう話すと相手の方は興味津々となります。最後に明治にできた小学校に開成という名前が付いて小学校の名前を町の名前にしたと説明します。
かなり手間がかかります。しかし相手の方は私の解説を聞いて完全に一目置きます。ここから本来の町づくりの話に入ると聞いてもらえます。
時間の余裕がある時は、町内ただ一つの中学校の名前についても解説します。文命中学校という名前は誰が考えても不思議です。
開成町の中学校なら開成中学でも良いはずです。文命は何故に開成町の中学校の名前となったのかはミステリーです。
文命とは何かから話し出します。中国古代の皇帝の名前で治水の神様として現在の尊敬を集めている人物であることを基礎知識として注入します。
1707年の富士山の宝永噴火に話を移し開成町を流れる酒匂川が氾濫しその後の治水工事を徳川吉宗が直轄工事で行った歴史を大急ぎで話します。
徳川吉宗の援助によって工事の完成後文命を祀る宮が治水の難所に建ち今も祭りが行われていると説明すると誰しも目を見張ります。
昭和になって農業用水路が整備されその用水路の名前を文命用水したことから中学校の名前にしたと言って話をおしまいにします。
文命中学校と名前がついたことについて、つい最近ちょっとした発見がありました。足柄の歴史再発見クラブの井上三男さんが探り出しました。
文命中学校の金庫の中に名前の由来が書かれた文章があることが判りました。文命用水から名前を付けたとはっきり記録に書かれていました。
町を紹介する時、開成と文命だけで相当の時間を要します。でも通り一遍の解説をするよりよほど関心を持ってもらえます。
開成町の名前をアピールする立場にある方はみな開成と文命の基礎知識を身に付けて是非活用していただきたいです。
歴史と文化の香りのするPRとなります。開成町が歴史や文化に深い関心を持って町づくりに励んでいることを知ってもらえます。