瀬戸内ジャムズガーデン、ジャムが創り出す新たな島の経済

(瀬戸内ジャムズガーデン HPより)

昨日、小田原・箱根商工会議所のビジネス交流会がありました。瀬戸内海の島、山口県周防大島町のジャムづくりの話でした。

さわやかな語り口調だったこともあってすがすがしい講演会でした。松嶋匡史さん、瀬戸内ジャムズガーデンの社長さんです。

脱サラの経営者です。元中部電力の社員です。2001年新婚旅行先のパリでジャムの魅力にはまって独立を考えていたということです。

奥さんの実家が周防大島町のお寺でした。奥様の実家の協力で起業された訳です。お寺が応援してくれるというのは力強いです。

檀家があります。ジャムを作りたくても原材料を供給してくれる農家がいなければなりません。お寺のネットワークは役立ちます。

瀬戸内ジャムズガーデンは2003年から事業を始めました。300個の販売でした。現在は、10万戸です。

2007年、従業員4人、契約農家数8軒だったのが現在は従業員が22人で契約農家は52軒にまで増えました。

地元の雇用にも役立っていますし地域の農業の振興にも寄与していることが数字からもすぐに伺えます。全国から注目される存在となりました。

周防大島町は山口県の東南に位置し瀬戸内に浮かぶ島です。面積138平方キロで人口が18334人です。

1960年には人口は5万人でした。急激に減っています。高齢化率も上がりました。およそ2人に1人が65歳以上です。

産業を興して島に住む人を増やすことは島の行政にとって最大の課題です。瀬戸内ジャムズガーデンは、大きな貢献をしています。

最近の傾向として10人から20人程度ですが外に出て行く人より新たに住む人の数の方が上回るようになりました。

極めて条件が悪い町でこのように頑張っている話を伺うたびに小田原や箱根、足柄地域がいかに恵まれているかを改めて感じます。

恵まれた環境にあって活性化ができないなってことはあり得ません。やろうとしないだけだと思えてなりません。

ところでなぜ瀬戸内ジャムズガーデンは成功したのでしょうか。徹底した多品種少量生産、徹底した素材のこだわりで差別化したということでした。

ジャムはどこでもでき特色が出せません。周防大島でしか出せない魅力のある商品づくりにこだわり続けたという話でした。

完熟カボスのマーマレード、ピザのように焼いて食べる焼きジャムの開発など色々と知恵を出して商品を開発しています。

パン屋さんと組んでイベントを仕掛けたり発信の仕方も工夫しています。有名になればなるほどメディアの取材も増えます。

昨年末からジャム工房の大改造中だということです。最初の段階は大成功でした。次なるステージは何を目指すのでしょうか大注目です。

松嶋さんの最後の言葉は「共感」でした。その地域でしかできないものを作り出して共感してもらうことが大切だという話でした。

モノとして売って儲けようという発想ではなく地域とともに商品を育て買ってもらった人にもその思いを伝えることだと思いました。

小田原や足柄地域でも耕作放棄された果樹園がたくさんあります。立地条件は首都圏のすぐ近くです。何かやれそうな感じがしました。