充実の大学生の卒論に学ぶ会

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昨日午後、第7回「小田原・開成を主題にした大学生の卒論に学ぶ会」が開成町民センターで開かれました。充実の時間でした。

足柄の歴史再発見クラブの大脇良夫さんと井上三男さんの2人が主催者です。民間企業のOBでこの手のセミナーの開催に慣れています。

最初に府川裕一開成町長が「教育に力を入れて行きたい。大学とも連携を取りたい。この催しはとても意義ある。」とあいさつしました。

発表者は全部で3人一組のチームと個人で3人、4テーマで行われました。全て小田原が関係していました。足柄より人気があります。

トップバッターの東京理工大学理工学部の3人トリオは、コンピューターグラフィックスを使って小田原城の景観づくりの提案でした。

御用米曲輪(ごようこめくるわ)と呼ばれる江戸時代の米蔵を復元してショッピングもできる観光施設にしたらどうかという案でした。

ただ建物を建てるのではなく周囲はゆったりと散歩ができる庭園づくりをセットで示していました。庭園は戦国時代の様式を採用していました。

理工系の学生らしく人はどのような景観に心地よさを感じるかをデータ化して画像に活かしているところに感心しました。

続いても小田原城についてでした。城の石垣を3次元のレーザースキャナーという高性能の観測機械で調査しデータ化するという内容でした。

東京農業大学地域環境科学部の学生が発表しました。これは今すぐにでも実践しようと思えばできる提言だと思いました。

石垣を積むプロが目視で観てチェックするといっても限界があります。高性能の機械でデータを蓄積した方が客観性があります。

3番目は漆についてでした。英語のジャパンには、日本という意味のほかに漆という意味があるということでした。知りませんでした。

漆の生産が盛んだったからです。松田町寄(やどろぎ)という山間部でも江戸時代漆の製造が行われていたことを史料に基づいて発表しました。

寄出身で県立高校の日本史の先生になったばかりの若者がプレゼンしました。慣れていて堂々たる話し方でした。

東京学芸大学の学生時代も一度この会で発表しました。格段の成長です。江戸時代後期、小田原藩も漆の直売を始めたということに興味を持ちました。

最後も社会人の発表でした。小田原の和菓子屋さん、菜の花に就職したばかりの女性です。東京農大の地域環境科学部の卒業です。

小田原の名産といえば梅が挙げられます。一方北条早雲の時代から茶の湯も盛んです。梅を素材にした菓子が製造されるようになりました。

甘梅梅という菓子があります。梅の酸っぱさと餡の甘さをミックスした和菓子です。小田原が発祥の地だということを知りました。

4テーマの発表で2時間を超えました。それぞれ特色があってあっという間に時間が過ぎました。町づくりのヒントになる内容ばかりでした。

各市町が横の連携を取って行政も一緒にこうした発表会を開催することができればより充実した内容になると思いました。