神奈川県西部の山林保全は静岡県との連携不可欠。
昨日、県西地域県政総合センター、足柄上合同庁舎でバイオマスや水力などの自然エネルギーの活用についての勉強会がありました。
呼びかけたのは、一昨年8月一般社団法人酒匂川流域自然エネルギー研究開発協議会を立ち上げた飯沼和正さんです。
飯沼さんは元朝日新聞の科学部の記者で、退職後は科学ジャーナリストとして神奈川県政の科学技術政策に深くかかわってきました。
昨日の勉強会は、少人数の塾のようなものでした。山林地主で林業経営に意欲的な方、神奈川県庁の関係者、民間企業の方でした。
神奈川県西部の山林は相当に荒れているのが素人目でも判ります。そんな中で規模を拡大しようとされている方がいました。
南足柄市の方で現在360ヘクタールの山林を所有していられますが500ヘクタールまで増やしたいと言われていました。
現在大学生の息子さんも出席されていましたので後継者もいます。県西部地域では珍しいです。期待感を持ちました。
神奈川県は、開成町で行っている小規模水力発電の実証実験を紹介していました。法律の規制緩和が追い風になっているとの説明がありました。
水力発電では1秒当たり1立方メートル以上の水を使用する場合は電機や水路の主任技術者を置くなどの規制がありました。
ところが今年の4月から農業用水路に設置される出力20キロワット未満の小水力発電設備について技術者が要らなくなりました。
年間経費が30万円程度節約できるということです。ささやかですが規制緩和が自然エネルギー活用の促進剤になる一例です。
建築廃材を集めて川崎市の臨海部で33000キロワットのバイオマス発電に参加している業界大手の企業の説明がありました。
首都圏から出る建築廃材を集め燃料となる材料をまかなっています。首都圏では千葉県の市原市と川崎市の2か所だということでした。
今後の会社としての事業展開を考える際、住宅着工件数は長期低落が予想されるので山林から出る材料の活用を考えたいということでした。
発電をする場合は燃やす材料を集めるのが一苦労です。神奈川県西部地域の山林は伐期を迎えた山林がたくさんあります。
コストが合わないために山から出てきません。1立米当たり13000円の補助金を県がつけても搬出を刺激しません。
利用したくて待っている企業や発電施設があるのに山林からは木が搬出されることはなく結果として山林が荒れるという悪循環に陥っています。
神奈川県の山林担当の職員の方からも説明がありました。発電用の材木の奪い合いのような状況にもなりかねないという話でした。
1つの県単位で考えているので矛盾が生じます。神奈川県だけでは搬出量が小さいので単独では手が打てずに時間が過ぎます。
隣接する静岡県では発電所の建設が進んでいて燃料となる材料が足らない状況です。双方が上手く行きません。
神奈川県は独自の補助金を出しているのだから神奈川県内の利活用でないと認めないというような対応ではどんどん山林は荒れます。
県の枠を取り払いもっと地域を広げて考えることで活路を見い出す必要があります。酒匂川の流域単位で考えれば解決の道筋が描けます。