戦後70年、戦争体験を語り継ぐ。
7日、開成町の町民センターで町遺族会主催の「戦争・平和講演会」が開かれました。90人近い参加者でした。
驚いたのは開成町以外の近隣市町の方が大勢見えていたことです。遺族会の会員は20数名でした。この手の催しとしては大盛況です。
事前に地元のタウン紙に掲載されたということです。地域密着の催しの場合、タウン紙は、新聞以上に影響を持ちます。
講師は、静岡県熱海市立第一小学校の校長先生を務める井上弘さんです。私の高校の同級生で同じクラスになったこともあります。
遺族会の方から講師を紹介して欲しいと依頼があり即座に井上さんを紹介しました。小田原市在住で戦争体験の記録を集め続けていられます。
「戦時下の小田原地方を記録する会」の有力メンバーで地道な聞き取り調査に基づいて「戦争と民衆」という会の冊子に発表を続けています。
終戦の日の未明にアメリカの爆撃機B29により小田原市の海岸寄りの浜町一帯が空襲され死者12人を出しました。この記録を丹念に追ってます。
井上さんの報告を受けて空襲体験をされた方々から手が上がりました。各人が、B29が飛んでいく様子を話したり実体験を紹介していました。
開成町の遺族会がこうした講演会を開くのは7回目です。慰霊の催しだけでなく戦争体験を語り継ぐ催しを続けているのは稀だと思います。
原点は、2005年の敗戦から60年の節目の年にありました。町と教育委員会で戦争体験を語り継ぐ冊子を発行しました。
横浜から開成町の高校やお寺に疎開された皆さんの体験をまとめました。疎開者に開成町に来ていただき座談会も開催しました。
疎開体験は孤独で、疎開だということでいじめられたり苦い思いでもたくさんあります。語ることで心の傷を癒していただければと思いました。
冊子の発行の後、町遺族会に働きかけて遺族会としても慰霊だけでなく新たな行動が必要ではないかと私が町長時代、要請しました。
遺族会でも前向きに考えて下さり、2009年南足柄市内の学校に外国人の捕虜収容施設があったことを題材に朗読劇を開催しました。
飢えに苦しむ外国人捕虜に対し夜そっとサツマイモなどの作物を差し入れて捕まってしまう話を語りで紹介しました。
劇団ぽぽといって開成町の古民家の瀬戸屋敷で子供たちに読み聞かせを続けている南足柄市の市民グループに協力いただきました。
そこから7年になりました。大学生の発表を行ったり様々な平和を考える講演会を続けてきました。全国の遺族会にとって良き前例です。
遺族会も高齢化が進み会員はどんどん減っています。若い世代につないでいかなければなりません。そのためには挑戦が必要です。
私は遺族会が母体となって平和を考える集いを開催するなどのイベントが役立つと思います。多世代の参加を促せます。
今年は戦後70年です。戦争と平和の問題を考える絶好の機会です。いち早く戦争・平和講演会を開催された開成町遺族会に敬意を表します。