神奈川研究会、徐々に軌道に乗ってきました。

経済ジャーナリストや大学の研究者ら有志で神奈川を分母にして地方自治、町づくりを勉強しようという集まりが昨年11月にスタートしました。

町長の経験者ということで私にも声がかかりました。10人に満たない人数ですが11月、1月、3月と2ヶ月に1回勉強会を開きました。

場所は、横浜駅西口近くのかながわ県民センターです。ここは人気があります。いつも利用者が入れ代わり立ち代わりです。

1回目は「地方消滅」という言葉を世に発した元総務大臣の増田寛也さんが編集した中公新書の『地方消滅』を題材に意見交換しました。

2回目は関東学院大学名誉教授の久保新一さんが産業の発展を歴史的な観点から捉え現代が大きな曲がり角にあると解説されました。

3回目は19日開かれました。参加者は横浜を中心に大都市部の人ばかりです。なぜ開成町は人口が増えるのかという質問に答える形で話しが進みました。

高度成長時代に土地利用規制をして乱開発を防ぎ景観を守る形で町づくりを進めた結果であるといつもの様に解説しました。

その土台に立って最先端企業の研究所の誘致や新たな小学校の建設が可能となり発展の歯車が順調に回っていると補足しました。

なぜそのような町づくりが他市町村でできなかったのかという疑問も出ました。1番はリーダーの決意というか指導力だと思います。

右肩上がりの時に規制をかけて町づくりを進めようとすれば反発が起こります。それを押さえるのには不退転の決意が必要です。

もう1つの要因としてかつての繁栄が忘れられないという傾向を上げました。かつて中心地だったような地域に得てしてありがちな傾向です。

開成町のように何もないところから創り出していくのではなく過去の遺産がそれなりに蓄積されているところは抜本的に変えにくいです。

今まで何とかなったので何とかなるだろうという根拠のない期待感が蔓延しがちです。この空気が改革を遅らせます。

総合計画という町づくりの指針を見ればすぐに判ります。総合計画には人口目標が必ず掲げられています。実態を捉えていません。

人口減少、少子高齢化が顕著になっていてもかつての夢を維持して人口が増えることを想定した無理な計画を立てがちです。

現実を直視することなく幻想にはまってしまっては町づくりはちぐはぐとなります。夢から覚めることが最低条件です。

神奈川県内の市町村は、厳しい状況に置かれつつあるとはいえ首都圏の一翼を占めていて横浜、川崎という大都市もあります。

この大都市との連携を取ることができるかどうかが神奈川県内の市町村の生きる道を左右することは間違いありません。

県という存在は神奈川県においては実はとてつもなく大きいと思います。大都市とその他の町村を連結する役目を果たす訳ですから。

横浜や川崎は、経済力があり自立が可能なように見えます。しかし命の水は神奈川県西部などの巣現地域から送られている訳です。

水の循環をきちんと踏まえてオール神奈川の考え方を強固に打ち出していく必要があると思います。神奈川研究会の目標にしたいです。