「地方創生のヒントは開成にあり」

(開成町 あじさいの里 あじさい祭りHPより)

神奈川大学の講義が昨日から本格的に始まりました。現代日本にとって最大の課題の1つ、人口減少に応える講義を目指しています。

首都圏に近い神奈川県においても人口減少に悩む自治体が増えている中で、私が町長を務めた開成町は人口が増え子供の数が増えています。

この流れを産み出した開成町の町づくりの過程を探ることは日本の危機である人口減少から脱する処方箋を考察することと同じ意味です。

基本は土地に関する長期的方針を確立できるかどうかです。多様な自然を有し人工的に利用できる空間が少ない日本は土地が貴重な存在です。

経済原理に沿って放置すれば雑然とした町になってしまいます。ここを規制する長期的な土地利用の縛りを作れるかどうかが第1ハードルです。

続いて作った縛りを堅持できるかどうかです。途中で例外ばかり作ってしまったら縛りは意味を成しません。堅持することが第2のハードルです。

縛りは判りやすくなくては守れません。第3ハードルです。開成町は3分割方式を採用しました。水田、住宅地、開発地域です。単純明快です。

開成町は、1965年に町域全域を都市計画区域に編入して計画的町づくりを始めました。土地利用の3分割方針は今も堅持してます。

続いて進める順番が第4のハードルです。開成町は、水田地域を守ることから始めました。ただ守るのではなく水田の形状を整えました。

開成町の場合は水田のあぜ道にあじさいを植えて公園のような景観を創造しました。画期的な手法だと思います。民有地が公園みたいになるのですから。

あじさいの町に集中して町のイメージを上げました。自然を人工的に整えて付加価値を付けることで観光資源へと様変わりしました。

付加価値の追加として古民家の再生も行いました。あじさいの町に相応しい300年続いたかやぶき屋根の古民家を蘇らせました。

第5ハードルは既成概念を突破することです。住宅や建物のの密集地にこそ公共施設を張り付けることです。空間的余裕を生みます。

住宅密集地の安全度を高めます。公共施設を住宅地から離れた地域に建てた方が効率的かもしれませんが踏みとどまる必要があります。

企業誘致は人口の増加の促進材料として捉えることも既成概念の突破です。企業誘致と住んでいいただくことはセットです。

開成町の場合は富士フイルムの先進研究所を誘致しました。研究員の皆さんに住んでいただけるような住宅開発と同時進行でした。

教育や福祉施設の充実も人口増加策です。開成町の場合は子供の数の増加を見込んで先手を打ち新設小学校を建設しました。

樹木がふんだんに使われた小学校に子供を通わせたいというのは住みたいという気分を醸成させます。教育施設は人口増の促進策でもあります。

以上列挙しました6つのハードルを各地域に合ったやり方で町づくりを進めれば人口が増えて活性化を図れるはずです。

人口が増えて活性化が図れれば税収が増えて教育や子育てい支援、高齢者福祉、自然環境の保全に資金を回すことができ更に人口増が図れます。

開成町はまさにこの好循環サイクルに入っています。この流れを活かして日本の地方創生のモデルとなる使命があると私は思います。

 

 

 

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