大阪都構想の衝撃波

5月17日に大阪都構想の住民投票が行われます。211万人という膨大な数の有権者に都構想の是非を問うことになります。

昨日の神奈川大学の地域政治論でも取り上げました。歴史と伝統を誇る大阪市が解体されるかどうか革命ともいえる内容だと話しました。

今回の住民投票は参考とおする住民投票ではありません。一票でも上回れば決定です。賛成が多ければ2年後の4月実施です。

橋下市長は敗れれば政界引退を表明し退路を断つスタイルを有権者にアピールしています。イエスかノーか選択を迫るスタイルです。

私は東京に代わるもう1つの目玉を日本に作るという体制変革の方向性は賛成です。ただあまりに性急なところが極めて気がかりです。

大阪府と大阪市の二重行政を打ち破って新たなオール大阪体制にするという意図は判ります。しかしその結果どんな大阪になるのかが不透明です。

一緒になることはあくまでも手段ですのでどんな大阪を創造するのかというビジョンがきちんと共有される必要があります。

十分な時間が無く住民投票にかけられています。ビジョンの部分の議論が不十分だと思います。無駄を排して効率的にするだけの話ではありません。

また無駄を排すると言っても大阪を5つの特別区に再編するというやり方で住民と直接向き合う行政が機能するのかどうかも重要です。

5つの大きな市ができるようなものです。経済格差も生じます。それは新たにできる大阪都が調整するということで対応できるかです。

単純化し過ぎてしまうと後でデメリットが大きいことが判り大混乱に陥ることがあります。急進改革の落とし穴です。

橋下市長の手法はとにかく大阪都にすることを決定し内容に不都合があれば走りながら修正しようということだと想像します。

大阪の有権者が様々な疑問点もある中で大阪都構想という革命を受け入れるかどうかです。本当に興味深いです。

成立すれば全国に大きな影響を及ぼします。大都市部においては二重行政は同じように抱えています。神奈川県はその典型です。

県とほぼ同じ権限を有する政令指定都市が3自治体あります。横浜、川崎、相模原です。神奈川県の人口の3分の2を占めます。

横浜に県は必要ないではないかという意見は根強くあります。県と同じ力量があるのだから県の行政をそっくり受け継いだらどうかという話です。

横浜市は特別自治市という構想を持ち既に公表しています。本当の意味で県と同格の市になって二重行政を一気に変えようということです。

この改革の方向も是としますが絶対に忘れてはならないのは横浜が県と同格になっても横浜だけでは持続できないことです。

水の供給が典型例です。県西部から水が供給されていることを忘れてはなりません。横浜の自治を高めると同時に県全体を考えることが必要です。

水を供給を土台にしてオール神奈川体制を構築するのと同時進行で大都市横浜の自立を目指すことが絶対条件だと思います。

この仕組みができれば大阪都構想以上に神奈川県は独自の発展の基盤を作り上げることができます。大いなる議論の時期を迎えそうです。