いよいよ東アジア文化交渉学会開催へ
(文命東堤碑 治水神禹王を祀る石碑)
今週末の9日、10日東アジア文化交渉学会が開成町福祉会館で開催されます。開成町制60周年の記念事業の1つです。
中国、台湾、韓国などの外国人研究者79人と日本の研究者合わせて120人が国際文化交流などについて研究発表をされます。
開成町を中心に郷土史の研究を積み重ねてきた「足柄の歴史再発見クラブ」と開成町がタイアップして実施します。
国際学会は8分科会に分かれて研究発表がなされます。そのうちのハイライトは、中国の治水神禹王(うおう)研究です。
(福沢神社例大祭 5月5日)
足柄の歴史再発見クラブが会を立ち上げた2005年12月からずっと研究を続けてきた分野です。研究成果を国際学会で発表します。
酒匂川上流の福沢神社と対岸の岩流瀬の文命西堤碑の祭神は中国の治水神禹王です。この一点に照準を絞った研究が花開きました。
5月5日がお祭りの日です。私も」福沢神社の例大祭に参列させていただきました。国際学会の成功を祈りました。
民間の研究に発表の場が提供されるのは通常の学会運営ではあり得ません。東アジア文化交渉学会の開かれた姿勢に敬意を表します。
足柄の歴史再発見クラブ顧問で治水神・禹王研究会の代表の大脇良夫さんが基調講演を行い、禹王分科会の座長も務めます。
クラブの面々も発表されます。地域に根差した民間の郷土史研究が日本全国と中国にまで広がっている実情が理解できます。
足柄の歴史再発見クラブが中国河南省安陽市から民間の禹王研究者を招待しました。中国の禹王研究の現状も知ることができます。
禹王研究は今後更に大きな展開を見せると確信します。日本国内では天皇家と治水神禹王とのつながりが焦点の1つです。
京都御所の御常御殿の襖絵には治水神禹王が描かれています。最初に描かれたのは江戸時代初期の1641年だと言われます。
「大禹戒酒防微図(だいうかいしゅぼうびず)」という禹王が酒を断ち自らを戒める物語を描いた作品です。
中国の古典に題材を求めた絵画は他にもありますがなぜこの作品を襖絵に選んだのか研究を掘り下げて欲しいと思っています。
天皇は日本文化の守り手です。天皇家と中国の治水神との関わりがどのような経緯で始まり継続されたのか興味は尽きません。
中国での禹王研究も大きな発展の可能性があります。中国には禹王伝説が全土に広がっていて遺跡は数えきれません。
その中心地は生誕の地といわれる中国河南省と周辺の地である浙江省紹興です。生誕の地の伝説はパンダの故郷四川省も有力です。
禹王遺跡は中国本土だけでなく台湾にも数多く残っている点も注目されます。韓国でも一カ所ですが遺跡があります。
こうした各地域の民間研究者と日本国内の禹王研究者がもっと交流を深めて行くことができれば禹王をめぐる一大研究交流へと発展できます。
日本や中国、その他の地域の禹王を祀る文化の共通している部分と異なっている部分を互いに知ることで各地域の文化をより深く知ることになります。
関係する各地域から研究者が集まる東アジア文化交渉学会での治水神禹王研究の発表は、禹王研究の新たな国際展開の画期となるに違いありません。