大都市と水源地域の分かち合いの自治システムの構築を目指して

大型連休明けの昨日は、神奈川大学で地域政治論の講義がありました。前期は、神奈川県の地域課題について講義をしています。

神奈川県の根本問題は県の東部と西部の格差です。県東部には、370万人の人口を誇る東京を除いて日本最大の都市の横浜があります。

東京と接している川崎市も人口は150万人に迫る勢いです。県北部には相模原市が人口70万人、政令指定都市の仲間入りをしました。

この三大都市で県の人口900万人の3分の2のおよそ600万人です。残りの地域で300万人、相模川より西半分は100万人です。

人口規模と経済活力は比例しますの東側に傾きすぎている実態が一目瞭然です。これは手品のように一気に変えることはできません。

現在、巨大な人口を誇る県の東部の都市の方で改革への動きが活発になっていることです。大都市内部の財政需要に応えるためです。

横浜のような大都市部も一見華やかに見えますが高齢人口の激増などに対応しなければなりません。税収は自分たちで使うという欲求が高まってます。

横浜では神奈川県と全ての面で同格の権限を持ち市内で得られる地方税収は全て市で扱い仕事も全部するという改革を打ち出しています。

特別自治市構想です。神奈川県という枠組みはかろうじて残りますが事実上の県からの独立です。横浜市にとって県は必要なくなります。

こうした改革が実現すると神奈川県と横浜市で両方で行っている行政の効率化が図れる側面があります。二重行政の解消です。

そのことによって財源が浮き横浜の財政需要に応えて行こうという狙いです。妥当な改革の方向ですが重大問題が残されます。

大都市部から得られる豊富な税収が神奈川県を通じてその他の地域に配分することで神奈川県全体の財政バランスが成り立っています。

この構造が崩れます。県の税収が一気に減少することは大都市以外の地方都市、とりわけ小さな町村にとっては大打撃になります。

小さな町村への配慮抜きにして横浜市の特別自治市構想はあり得ません。弱者切り捨てと言っても過言ではない改革になってしまいます。

この構図を打開する決め手は水です。小さな町村は水源地域に多くあります。水は県の事業によって横浜などの大都市に送られています。

この事実を大都市の住民にもっと認識してもらうことが不可欠です。実態が理解されれば大都市と地方は協力し合うことができます。

現状はほとんど無理解です。横浜市が特別自治市構想を推進する大前提は水の供給についての水源地域の貢献を理解することです。

この理解が進むのならば横浜市の特別自治市構想の推進は正しい選択だと思います。自律度が上がり経済政策も大胆に打つことができます。

横浜の経済活力の向上は横浜市の財政需要をまかなうことになり一定程度の税収を水源地域など地方へ還流させることも理解されます。

大都市と水源地域の町村との分かち合いの地方自治のシステムの構築が可能となります。神奈川県は先陣を来るだけの能力があります。

横浜という絶対的な存在があるのが強みです。神奈川県が権限と財源を横浜市に大胆に移す覚悟がありさえすれば新しい神奈川の自治の仕組みができます。