(瀬戸屋敷 開成町瀬戸屋敷ひなまつりホームページより)

東アジア文化交渉学会が終了し再び日常に戻りました。昨日は、午前は、神奈川大学の講義、午後は日本大学の総合科学研究所に行きました。

神大の講義は、政策過程論で開成町の町づくりを題材にしていかに未来を先取りした政策を立案するかについて講義しています。

昨日は古民家の再生がテーマでした。なぜかやぶき屋根の古民家、瀬戸屋敷の全面的な再生にこだわったのかを話しました。

田園の中に咲き誇るあじさいの景観により開成町の名前は、少しずつ有名になりました。6月の祭り期間中の観光客数も伸びました。

美しい景観があり平坦であるという特色を活かして建設省の自転車の町づくりのモデル事業に応募したら採用されました。

ここで調子に乗って外への発信ばかりを考えていては後々成長しません。足元の歴史を見つめ直し象徴となる事業を興そうとしました。

それがかやぶき屋根の古民家瀬戸屋敷の再生です。1800坪の敷地を有する広大な古民家です。米蔵として使っていた土蔵も残っていました。

建物を所有する瀬戸家からは町が300年続いた伝統を守り育てていただけるのならば全て寄付いたしますと申し出がありました。

しかし、全面的に修復するには開成町の一般会計予算のおよそ10パーセントに当たる4億4千万円がかかると見積もられました。

これでは手が出せません。議会も納得しませんし町民も古民家の再生にこれだけ多額の税金を使うことには異論が出て当然です。

この壁を突破できたのは情熱です。私自身に知恵はありませんでした。何としてでも再生させたいという強い思いだけでした。

土地建物を全てを寄付して下さるという瀬戸家の思いに応えなければなりません。町の伝統を象徴する建物の再生を決意しました。

救い主は当時の神奈川県知事の岡崎洋さんでした。岡崎さんは旧大蔵省のご出身で環境省の事務次官も歴任したエリート官僚です。

神奈川県からは大都市と農村との広域の交流拠点というアイデアが示されていました。この考え方を全面的に打ち出して行くことにしました。

開成町の歴史のシンボルだけでは神奈川県の全面的な支援は望めません。神奈川県全体に波及効果があるアイデアが必要です。

広域の交流拠点という発想はぴったりです。農村の活性化という考え方を取り入れることで農林水産省からの補助金も期待できます。

開成町がおよそ40パーセント、国と県が60パーセントという負担の割合が決まりました。岡崎元知事のおかげです。

しかも5か年計画で再生事業を進めましたので年次ごとの負担は小さくて済みます。これならば開成町でも対応できます。

無借金で古民家の再生事業を完了したことは胸を張れます。当時の選任の担当職員が精魂込めて仕事に打ち込んでくれたからできました。

後世に多少なりとも名を残す事業を実現するための絶対条件は情熱です。理屈ではありません。熱い心がなければ一歩も進みません。

政策過程論を選択した学生の中には地方公務員志望の学生もいます。そうした学生の皆さんに情熱が1番だと訴えかけました。

熱い心があれば知恵は後から着いてきます。理屈ばかり頭に詰め込んでも本当の仕事はできないと話しました。基本中の基本です。