大阪都構想の敗北は、横浜市の特別自治市構想への追い風。

昨日の、神奈川大学の地域政治論の講義で17日に住民投票の結果の出た大阪都構想と橋下市長の身の振り方について講義しました。

大事のことは住民が決めるという民主主義の原則を貫きました。211万人という膨大な数の有権者の67パーセントが投票所に足を運びました。

見事な住民投票だと率直に思います。橋下市長の類稀な発信力が今回の住民投票を成功へと導いた原動力であることは言うまでもありません。

ではなぜ否決されたのでしょうか。私は性急さにあると言いました。案の取りまとめも含めて余りに急ぎ過ぎです。

東京と並び称される大阪市の解体をテーマとするにしては乱です。結果的には橋下市長の政治生命を奪うことになりました。

もう少しだけ最後の段階で落ち着いた行動を取ることができれば全く様相は異なったと私は思います。せめてあと3年は欲しかったです。

第1ラウンドは、方向性を決める住民投票を先行して実施し具体の内容を決める住民投票は第2ラウンドにして欲しかったです。

しかし否決されたとはいえ70万票近い票を獲得し賛否は拮抗しました。この事実は何を意味するでしょうか。

2重行政を排して行政を効率化し輝ける大阪を創造して欲しという改革への期待は十二分過ぎるほど底流に流れています。

この民意は無視するわけには行きません。大阪都構想はダメになっても、都構想に代わる次善の策の模索が不可欠となります。

具体には現行の大阪市の体系は存続させながら大阪府との2重行政を排除するための協議の場を設置することは最低限の取り組みでしょう。

もう1つ橋下市長が提唱した住民に身近な行政はできる限り区が実施するという趣旨に沿っていわば特別の制度も必要だと思います。

これらの改革は、横浜市が提唱している特別自治区構想に近い内容となります。橋下市長は市を解体して府に統合して刷新しようとしました。

横浜市は逆に横浜市域に関する神奈川県の権限と財源を横浜市に集約して2重行政を無くし横浜市内各区の権限も強化しようとしています。

大阪都構想の改革がとん挫した今、横浜の提案は、都道府県と大都市との2重行政を改めつつ住民に身近な行政を展開する有効なやり方です。

横浜市当局が特別自治市構想を改めて世に発信するチャンス到来です。林文子市長以下スタッフの頑張りに期待したいです。

講義では橋下市長の身の振り方についても言及しました。投げやりなところが否定できないと私なりの感想を学生に伝えました。

ダメならダメでしかたないというあきらめがあるように思えてなりませんでした。あれだけの大改革を提唱したにしては淡泊過ぎます。

市長の座を降りるのは公約ですので当然です。しかし大阪都構想が不可欠だと確信しているのならば側面から粘り強く行動を続けるべきです。

きれいさっぱり政治の世界から足を洗うと断言したのには政治家の身の処し方としてどうなのかなと率直に思いました。

どんな結論が出ようとも「それにもかかわらず本当はこうだ。」と思う信念が必要ではないでしょうか。がっかりしました。

大阪都構想の嵐は止みました。大都市問題を冷静に考える時期がやって来ました。横浜市が議論をリードして欲しいと思います。