災害と地方分権

昨日の神奈川大学の地域政治論では災害などの緊急時、マスコミへの情報伝達における国と地方の役割分担について考察しました。

緊急時にはあれこれ相談している暇がとれません。トップダウンに行くしかありません。ただし行き当たりバッタリはダメです。

発生しそうな事態を事前に予測してルールを決めて置きそのルールに従って行動することが基本となります。

箱根・大涌谷周辺地域の火山活動の活発化に対する箱根町の対応は基本にかなったやり方でした。3月に避難誘導マニュアルを作成済みでした。

このマニュアルに従って箱根町は町長を先頭に冷静に対応しました。何度もブログで紹介していますが山口町長、落ち着いてました。

しかし、町役場の冷静な対応にもかかわらずマスコミの報道で箱根山全体が爆発するのではないかというような疑念を抱かせてしまいました。

こうした空気を助長してしまった原因を探ることが大切です。私は5月6日午前6時の気象庁の発表にあると見ています。

関係者の話しによりますと突如としてレベル2に警戒レベルが引上げられ箱根町も結果を知らされマニュアルに沿った対応をしました。

よほどの緊急事態でない限りレベルの変更の際には主たる関係者とマスコミへの情報発信のあり方について協議があっても良いです。

テレビのニュースを見て関係者が情報を知るのでは混乱を生じてしまいます。慌てての対応は騒動を大きくしてします。

良くありがちな事態です。報道の方が先行していて関係者は情報過疎に置かれて不安を募らせるというパターンです。

避難誘導マニュアルを策定した際に重要なプレーヤーを抜かしていました。マスコミです。マスコミ報道は両刃の剣です。

混乱の元にもなりますし注意喚起の有力な手段ともなります。私の実体験ではマスコミは前者の方が多いと思います。

とにかく我先にと走ります。少しでも早く、ちょっとでも刺激的な良い映像をと追い回すのが習性となっています。

災害に関する情報提供は相当に慎重でなければなりません。できれば事前の勉強会などを通じて知識を提供して置くことが必要です。

マスコミには災害対応の関係者の一員という意識を持ってもらう必要があります。そのためには事前の勉強会は有効です。

マスコミへ第1次情報を流すのは気象庁です。マスコミに対する情報の流し方にもっと慎重な対応が必要だと思えてなりません。

現場を抱える箱根町や専門研究機関を有する神奈川県ともっと密接な連携が必要だったと思います。いきなりの警戒レベル2は酷です。

気象庁が単独で判断し一方的にマスコミに情報を流すと現場は混乱の尻拭いをさせられることになってしまいます。

災害時もっとも困難を極めるのは現場です。現場を預かる市町村が混乱しないような配慮が不可欠です。気象庁として反省材料です。

事前の調整がもっとあれば箱根町側から大涌谷周辺地域限定の現象でありその他の地域は安全であるという情報発信がもっとできたはずです。

地方分権改革にも通じる話です。現場を大切にして緊急時のマスコミ対応をどう組み立てていくのか再検討を求めたいと思います。