安全保障関連法案、慎重審議は常識中の常識。
神奈川県中井町議会が、国会で審議中の安全保障関連法案について成立を急がず慎重審議を求める意見書を採択しました。
12人の議員のうち8人の賛成多数だったということです。中井町は、自民党が強く、保守色の強い地域です。
その中井町の議会でこの手の意見書が採択されたことに驚きました。安倍政権の議論の進め方に危惧の念が広がっていると思いました。
戦後70年の積み重ねてきた安全保障の考え方の大転換の法案です。慎重審議は当然すぎるぐらい当然のことです。
日本国憲法9条に基づけば同盟関係にあっても第3国の戦争には参加できないというのが解釈として定着していました。
国際情勢の変化によって解釈は変更できるとして集団的自衛権を認め法整備を進めた訳です。大転換そのものです。
このような内容をわずか⒈国会で通そうと発想することが私には異常だと思います。何でしゃにむに急ぐのかと思います。
中井町議会が示した意見は良識です。急がないで慎重に審議し国民の多数が納得できるよう議論を煮詰めて欲しいと言ってるだけです。
多数の国民も中井町議会と同じ思いではないかと想像されます。これまでの世論調査では慎重審議を求める声が多数でした。
安倍政権が安全保障政策の転換を急ぐ背景には中国の台頭があります。経済力を増した中国が軍事的にのしてくるのを防ごうとしています。
手段として日米同盟の強化、その象徴が集団的自衛権だと見えます。判り易いといえば判り易い論理展開です。
しかし単純過ぎると思いませんかと問い返したいです。確かに中国は海洋進出を強化し南シナ海で緊張を高めています。
アメリカがこの中国の動きをけん制しつばぜり合いがはじまっています。米中の覇権争いが始まったかのように見える側面もあります。
尖閣問題を抱える日本としてはアメリカとしっかり手を組んでいうるこを中国に示し勝手はさせないということなのでしょう。
したたか者のアメリカと中国のことです。対立しているように見えていつ何時手を結ぶことが起きないとも限りません。
1972年の当時のアメリカのキッシンジャー国務長官の忍者外交による米中和解をもう一度思い出して欲しいです。
アメリカのそれまでの政策を固く信じて外交を展開していた佐藤政権はまんまとはめられたと言っても良いような状況に追い込まれました。
アメリカを信じ切って外交戦略を組むのは危ないと歴史が示しています。日本もそれなりにしたたかに対応することが練れた姿勢です。
そうしたしたたかな姿勢を取るためには理屈が要ります。その最強の根拠が日本国憲法9条とその憲法解釈でした。
集団的自衛権は認めていないので協力できる範囲は限られているとアメリカに対して主張できました。その根拠を失おうとしています。
アメリカは日本に軍事力の整備を求めてくるのは当然です。日本はアメリカの戦略に奉仕するために武器を購入することになりかねません。
超借金財政の日本が兵器を買わされ軍事産業だけが儲けるなんてことを許したくありません。まずは慎重審議で問題点を洗い出して欲しいです。