安保論議に決定的に欠けている視点とは。
明治維新と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか。遠い歴史上の出来事で学校の歴史の時間に習ったなという感覚でしょうか。
一方で明治維新を成し遂げた幕末維新の頃の人物に強い思い入れを持ちあの時代の気概を持たなければという方もいられるでしょう。
私は、明治維新は彼方の歴史上の終わってしまった出来事ではなく今なお大きな影響をもたらしている現在進行形の事象だと思ってます。
そして明治維新を成し遂げたいわゆる志士の熱い思いに敬服します。しかし熱情だけでは時代は創れず冷静さが求められていると思います。
時代は再び大転換せざるを得ない時期に直面しています。明治維新を進行させた時代背景とは真逆になっています。
地球上を席巻した欧米の時代が終わりを告げつつあり中国を筆頭に新興国と称される諸国の台頭が明らかになりました。
明治維新はこのままでは欧米の列強に飲み込まれてしまうと必死になって欧米の真似をして国家を形作ろうとしました。
天皇陛下の住居を江戸城に移し皇居とし東京を中心都市とする中央集権の国家ができた訳です。電光石火の早業でした。
欧米に負けない国を創るという国家目標が明確な時代には優れたシステムです。命令一下動く訳ですので効率的です。
しかし新興国の台頭で政治的にも経済的にも環境は変化しました。欧米だけを見て後をついて行けば良い時代ではなくなりました。
自分の国の足元も完全に揺らいでます。中心都市の東京に人を送り込んできた全国各地域で人口が減り活力が維持できなくなりました。
内憂外患の時代に我々は直面してます。全ての国民がもう一度150年の歴史を捉え直し国の進路を考える時代に入ってます。
ちょうどその時に安倍政権が安保法案を国会に提出しました。日本国民全体が国家の進路を真剣に考えるチャンス到来です。
安保論議は国家の基本方針を考えることです。安倍総理大臣はアメリカとの軍事同盟を強化することこそが日本の安定をもたらすと判断してます。
安全保障は外交と内政が合体したものです。安倍政権の方針で本当に国際環境は安定し日本の活力が復活するのかが問われます。
中国が怪しからんから封じ込めろなどという単純な論理だけで日本国家の進路を考えるのは浅薄です。もっと広く深く考える必要があります。
明治維新以来の国家体制が問われる時代の安全保障はいかなる方向性が日本国の安定につながり国民の活力を向上させるかを考えるべきです。
安倍政権も与党の自民党、公明党もこうした視点を十分に持ち合わせているか疑問です。中国だけに目を奪われているように思います。
一方野党は憲法違反かどうか、その点だけで揺さぶれば事足れりみたいな感じです。日本国をどうするという意識は感じられません。
憲法を守れば日本国が栄えるという単純な話ではありません。憲法を守ることにより日本国家がどうして繁栄するのか道筋を示さなくてはなりません。
政府も与野党双方も極めて生煮えのまま安全保障論議を戦わせています。明治維新以来の国家の基本方針が問われているという視点が欠落してます。