中国訪問記4
中国訪問記、最終回です。1981年5月に新婚旅行で訪れた北京で感じたのは貧しくてもたくましい人民のエネルギーでした。この国は発展すると思いました。
私の予感は当たり国内総生産GDPは日本の2倍を超えました。ひどかったサービスも向上してます。街が清潔になりました。大きな変化です。
大都市の労働力を支えているのは農民工と呼ばれる農村部からきている労働者です。日本でいえば非正規労働者で中国でもその数は増えています。
労働者人口が5億人の国です。意見交換した中国の労働組合の方は労働組合に加入させる農民工の数値目標は年間1千万人ということでした。
(北京 王府井)
夜の繁華街の賑やかさは半端ではありません。路地裏で中国風の鍋を食べましたがたどりつくまで人込みをかき分けてやっと前進できました。
広場では健康体操みたいなダンスを皆でしてます。一昨年河南省の省都鄭州市でも同じ光景に出くわしました。夜のご楽なのでしょうか。楽しそうです。
(南村志郎氏)
日中友好に国交正常化前から一貫してかかわってきた南村志郎さんが我々の夕食会に顔を出してくれました。旧満州生まれで80代半ば。日中関係の生き字引の一人です。
南村さんは中国にも知日派が少なくない日本にも中国を深く知る人がいなくなったことをひどく心配していました。今後の外交に懸念を示していました。
私は楽観しています。両国の政府がいがみ合って極度の対立に陥らないかぎり日中両国の関係は緩やかに改善しいずれ新たな友好関係を築くと思っています。
鍵を握っているのは訪日する中国人観光客です。激増しています。お土産品をまとめて購入する爆買なる新語も登場しました。流行語大賞候補です。
中国の方々が日本の本当の姿を見れば見るほどじわじわと友好の土俵は広がっていくと思います。日本の清潔さや礼儀正しさ、おもてなしを知ってもらうことです。
日本各地に残る中国由来の歴史文化遺産も実際に観てもらうようにすべきです。日本の文化遺産の多くは何らかの形で中国文化の影響を受けています。
また私が取り組んでいる治水神・禹王にように中国の神が日本でも祀られている事実も実際に確かめて欲しいです。両国につながりの深さに驚くはずです。
(京都御所 大禹戒酒防微図)
中国に戻って日本の話をしてもらいたいです。百聞は一見に如かずです。反日教育で机の上で教え込んでも実際に確かめた事実にはかないません。
日中間の交流において日本が取り組みべき課題は、中国との歴史と文化のつながりを意識し日本の歴史文化遺産をきちんと保持することです。
中国文化を受容し日本風に洗練させていったことを確かめられるようにする工夫が必要です。共通性と違いの両方が同時に理解できるようにすることです。
それと日本の美徳に磨きをかけることです。清潔さ、几帳面さ、勤勉さ、丁寧さです。これらの美徳を忘れてはなりません。日本文化そのものと言って良いです。
日本は、中国の急速な経済力の発展におののくことはありません。発展すればするほど訪日客は増えます。日本の良さをしっかり守り育てていけば関係改善に向かいます。