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(安保関連法案採決を伝える中国紙)

集団的自衛権の行使を容認することなど柱とする安保関連法案が衆議院の委員会で強行採決されたのは今月15日でした。ちょうど中国の北京にいました。

中国のテレビも安保法案の採決を大きく報じていました。新聞も写真付きで一面でした。しかし一番大きな見出しではありませんでした。

中国の経済成長率が7パーセントを保ったことが「環球時報」の一番大きな見出しでした。中国経済の先行き不安を払拭することに躍起になっていると思いました。

同時に集団的自衛権行使をめぐる日本政府の動きは織り込み済みで日本がいかなる動きをしようとも中国の姿勢は不変という国家意思も感じました。

今回の訪中における意見交換の中で日本はなぜアメリカ一辺倒になるのか疑念を呈する意見もありました。中国とも友好を保った方が日本の国益に資するという意見です。

日本と中国の最大の懸案は尖閣諸島の領有権です。日本が実効支配したままかつてのように棚上げにするための知恵を絞ることが本来ならば優先されます。

それなのに逆に尖閣諸島周辺の中国の動きをことさらに強調して集団的自衛権が必要であるかのような印象を振りまくのは本末転倒だと思えてなりません。

安保論議の議論の舞台が参議院に移りました。NHK記者時代PKO法案の与野党激突の取材の最前線にいた者の目から見ると意外この上ありません。

衆議院で強行採決されればそれほど簡単に審議に応じないと思っていました。ずいぶんとあっさり妥協したものです。野党側の姿勢が腑に落ちません。

野党は本気で法案を潰そうとしているのか疑われると思います。国会対策の駆け引きが様変わりしました。蛮勇を発揮する局面なのに不思議です。

審議に応じた以上は、参議院ではもっと国際情勢の変化とは何かを徹底的に追及して欲しいです。相手は中国であることをあぶりだせるかが焦点です。

アメリカと手を組んでアメリカの戦略に乗って中国の行動を封じようとしているのは明らかです。追及の仕方によって本音が出てくると思います。

本音が飛び出せばアジアの安定に資するのかどうかの本格議論となります。国民にとっても安保法案が必要かどうかの具体的で分かりやすい材料となります。

一方野党側にとってもどうすればアジアの安定がより保てるのか具体に語れなければなりません。憲法違反だから駄目だの一点張りだけでは衆議院と同じです。

憲法9条を守ればそれで事足れりではありません。9条を活用していかなる行動をとることがアジアの安定に寄与し日本の安全につながることを示す必要があります。

安全保障ビジョンがないのは野党の弱点です。このままでは反対のための反対を言っているに過ぎず政権を担うに相応しい政党だという信頼感は生まれません。

民主党をはじめ野党は安倍政権との論争を通じて集団的自衛権の容認ではないもう一つの日本の進路を語れるような存在になることが求められます。

現実的でかつ明確な選択肢として国民の目に映るような対案が求められます。衆議院とは違う参議院の独自性を発揮するチャンスでもあります。