安全保障構想の対案が欲しい2。
中国を仮想敵みたいに仕立て上げるやり方はしないだろうとの前提で昨日のブログは書きました。しかし実際は私の見立てとは違いました。
おとといの参議院の特別委員会で自民党議員の質問に答えて中国の動向に対する懸念を表明しました。国際情勢の変化の象徴的な事例として中国を取り上げました。
方針転換です。中国に対する日本の世論が厳しいことを背景に中国を敵視する方向に舵を切ったと言えます。安保関連法案の必要性の根拠としました。
国会論戦の場でここまであからさまにするとは私は思いませんでした。政府・自民党として焦りがあるのではないかと思わざるを得ません。
日本は溝が深いままになっている中国との政府間の関係を打開したいとの思惑を持っていいます。9月に安倍総理の訪中も取り沙汰されています。
この時期に安保法案は中国の海洋進出をアメリカと共同で抑制するためのものだと言い切った訳です。中国の反発は当然予想しているでしょうが綱渡りです。
足を蹴飛ばしながら握手をするのは難しいです。もっと慎重な言い回しをするのが常識的だと思います。露骨過ぎて意外な感じが拭えません。
安保関連法案を巡る憲法論議で憲法学者たちから違憲だとの指摘がされ国民の間でも法案の成立に慎重な意見が多数を占めていることが影響しています。
政府・自民党は、局面の打開のため賭けに出たのだと思います。国民感情が悪化している中国を名指しすることで安保関連法案成立の機運を高めようとしたのだと思います。
両刃の剣です。どう転ぶかわかりません。この発言により日中間に再び暗雲が漂うことになれば安倍訪中どころではありません。安倍政権にマイナスに作用します。
沖縄県の反応にも注視しなければなりません。沖縄にとって中国の脅威を煽られることは、尖閣諸島を抱える沖縄の緊張を高めることにつながるからです。
政府・自民党は、集団的自衛権を行使できるようにして日米同盟を強化し安全を保つのだと主張するのだと思いますが沖縄県民は素直には受け止めないでしょう。
沖縄に危険性を押し付けているに過ぎないとの反発が起こります。普天間基地の移設問題へと飛び火し更に反対運動が激しくなると予想されます。
中国と沖縄という二つの火種が発火し燃え盛る危険性があります。中国を悪者に仕立て上げれば上手く行くと単純に考えているとしたらしっぺ返しを食らいます。
憲法9条の解釈を変えて集団的自衛権の行使を容認するようなやり方ではなく憲法9条を堅持しながら日本の安全保障を保つ具体の構想を練るチャンスが来ました。
与党の公明党も本来の主張は平和憲法堅持のはずです。憲法堅持の説得力のある安保構想が打ち立てられれば公明党の対応にも変化が生じると思います。
現在の安保法案は違憲だの一点張りで行くには無理があります。今の政府案がいけないのならばどうすれば良いのかという問いに答えていないからです。
政府・自民党から出された中国敵視の安全保障観とは異なる新たな構想を示すことが出来た時に政府案の廃案が現実になると思います。参議院での論議を凝視したいです。