採点中…(汗)。

神奈川大学から書類が二つ届きました。試験の答案です。ずしりと感じました。政策過程論216人、地域政治論174人。合わせて390人分です。

昨年の夏、青息吐息になりながら採点したのが骨身に沁みてます。今年は昨年の轍を踏まないようにと注意を払いました。事前のガイダンスを徹底しました。

昨年は初めてのことでしたので勝手がわかりませんでした。自由に論じる形式の試験をしました。内容の出来不出来の差が激しくて読むのが一苦労でした。

今季はその論文指導を徹底しました。現在、政策過程論216人分の論文答案を観終わったところです。指導の効果は確かに表れています。

とんでもない答案は無くなりました。最低限の書きこんで欲しい内容は書き込んであります。随分と読むのが楽になりストレスは減りました。

一方で逆のストレスも出てきました。指導した通りのことしか書いていない答案が多く面白みがなくなりました。プラスアルファが足らないのです。

指導されたことはきっちりと書き込んであります。指導された内容を踏まえて独自の議論を展開する答案はあまり見受けられません。応用が不足しています。

しかし中には秀逸な論文があります。216人のうち4人、これは素晴らしいという答案がありました。女性が二人、男性が一人、もう一人は性別がわかりません。

中国からの留学生なので男性なのか女性なのか名前からでは判別できません。4人に共通しているのは達筆ではありませんが読みやすい文字が書かれてます。

文字を習いたてのような文字を書いてくる答案で内容が優れている答案は無いと断言して良いです。文字の質と答案の質は相関関係が明らかにあります。

しっかりした論文は芯が一本通ってます。論旨が明快なので読み易く評価も高くなります。私が講義した内容を踏まえてそれ以上の論考が書き込まれています。

政策糧論の講義の中で弱点をプラスに変える逆転の発想の大切さを強調しました。町は小さくても平坦であるメリットを生かした自転車の町づくりを例として挙げました。

優れた答案の中で基地問題を捉えたものがありました。基地はマイナスの存在であることは事実だが現状ではなくすことはできないことを冷静に受け止めていました。

存在していることをリアルに捉えて少しでもプラスに転じる材料とすることができないか考察していました。現実を踏まえた議論で感心しました。

中国の留学生の方は日本語がしっかりしていることだけで大いに評価されます。日本人の学生が見習うほどのしっかりした日本語の論文を書いていました。

講義ではその地域の歴史を活かした温故知新の街づくりの大切さを伝えました。この中国の学生はこの発想を受け止めて中国での応用を論じていました。

中国の代表的な古都西安を事例として挙げていました。参りました。4000年の歴史がある国です。歴史的な遺産はケタ違いです。

6日が採点の締切日です。あと174人分の答案が待っています。神奈川の地域政治論です。学生がどんな事を書いてくるか期待感半分、負担感半分です。