強行か論議継続か、岐路に近づく安保関連法案

安倍政権が成立に命運をかけていると言ってよい安保関連法案を取り巻く環境がどんどん厳しくなってきています。強行突破できなくなりつつあります。

安倍総理大臣の補佐官を務める磯崎陽輔氏の発言は政権にとって参議院審議の出鼻を完全に挫きました。政権の本音をあからさまに出してしまいました。

安倍政権は安保関連法案を衆議院で強行採決した後、明らかに戦術を転換しました。論点の軸足を日本を取り巻く安全保障環境を前面に打ち出しました。

政権側の戦術としては妥当な判断です。野党側のアキレスけんだからです。野党側には安全保障に関する明確な構想がありません。そこを突いた訳です。

国民感情が悪化していいる中国を事実上の仮想敵にして危険な動きをしている中国を放置して良いのかという論法を持ち出してきました。

この手法は両刃の剣であることは言うまでもありません。中国の反発を買い日本の国際環境を悪化させるからです。破れかぶれに近いと言ってもよい戦法です。

しかし国民世論が中国敵視論になびく可能性は否定できません。野党の方にも相当程度中国を敵視するのも止む得ないとという判断が横たわっていると思います。

野党の正念場がやってきたと思いました。憲法9条を守れ、アメリカはけしからんだけでは通らないからです。きちんとした安全保障構想が求められます。

その矢先に降って湧いたのが磯崎総理大臣補佐官の「法的安定性は関係ない。」という発言でした。議論を再び憲法論議へと戻す決定的な発言でした。

「憲法論議は大切で法的な安定性は保たなければならないのは当然だが安全保障環境の変化も大きく放置はできない。どうするか。」と問いかけるべきでした。

しかし後の祭りです。取り返しがつきません。野党は当分の間おかしいではないかだけで時間を稼げます。やめない限り収まらないと私は見ます。

補佐官といえば軍師軍団の一翼を担う存在です。冷静さと思慮に欠けた発言です。チーム安倍は決して強固ではありません。懐が浅く知恵者が不足してます。

磯崎補佐官のほかにもツイッターでデモに参集する若者に一言言って騒ぎになっている若い政治家がいます。タイミングと手段を知らな過ぎます。

今の時期にツイッターを使って反撃すれば中身とは無関係に騒ぎになって政権に痛手になると見るのは常識です。そこまで思いが至らないのでしょう。

自民党全体、あるいは政治家全体が軽くなっている表れです。ここにきて安倍総理大臣の軍師軍団の大将が出てきました。相当の危機感を感じてのことでしょう。

菅官房長官が沖縄の普天間基地の移設問題で休戦状態を作り出しました。普天間基地の辺野古移設の方針は不変だとしていますので単なる時間稼ぎに過ぎません。

そうせざるをえないほど状況が悪いと判断したのだと思います。ここにきての急転換は泥縄式だとも見えなくもありませんがとにかく火消しをしました。

国会論戦に集中する環境整備をした訳です。安保関連法案の行くへは厳しいです。遠からず強行突破か、論議の継続かの判断が迫られます。岐路は近づいてます。