激突のドラマを作れない民主党の危機

野党第一党の民主党の国会戦術を眺めていると本当に安保法案を廃案にしようと思っているのか首を傾げたくなります。激突が演出できてません。

国会は裁判所でも法科大学院でもありません。小難しい法律論議にばかり固執していては国民のボルテージを上げることはできません。

劇場型のドラマ作りが不可欠です。法律論議は平行線に決まってます。狂ったようにかみつかなくては政府に最終的には体をかわされてしまいます。

民主党の国会議員は輝かしい経歴のエリートが多いせいか狂気の味付けができません。大阪の橋下徹市長はその点巧みです。

大げさに振る舞い喧嘩を仕掛けて耳目を引きます。激情しているかと思うとしたたかに妥協ラインを探ってます。民主党が出来てないところです。

話を野党第一党の民主党に戻します。法科大学院の学生が提出するような対案を考えていてはお話になりません。野党がそんな対案を考えても意味ありません。

もっと大きな視点から憲法9条のこれまでの法解釈を守り外交を展開していくことが安全保障の絶対条件だという戦略を示せばよいのです。

集団的自衛権の容認がテロを誘発したりイラク戦争のようにアメリカによるでっち上げの戦争に巻き込まれる危険性があります。

法案をまとめる必要はなく全体としての安保構想を判りやすくまとめればそれで十分です。それに基づいて危ないと狂ったように叫べば良いだけです。

そもそも全く数が足らないのにまるで二大政党のようなやり方で安倍総理と巨大自民党に対抗しようとしても見果てぬ夢を見ているようなものです。

狂わなければいけません。模擬裁判を行っているような国会論議は戦術転換して激突を国民に観てもらうような舞台をしつらえる必要があります。

安倍総理の痛いところを徹底して突いて失言を引き出すしか手はありません。安倍総理もいらついて思わぬ不用意な発言をするかもしれません。

安倍総理がいちばん忸怩たる思いを抱いているのは戦後70年談話だと思います。東京裁判史観を覆したいという思いは全く実りませんでした。

野党が総理の本心と70年談話は異なるのではないかとなぜしつこく追及しないか不思議です。自民党のタカ派になったつもりで質問すれば良いだけです。

これは安倍総理にとって嫌でしょう。そして安保法案だけは成立させるということはアメリカに踊らされているに過ぎないと追及したらどうでしょう。

狂った言い方をすれば「総理はアメリカの犬か!」です。誇り高いナショナリストである安倍総理としては絶対に許せない発言です。

こういったやり取りをして初めて国民の目が国会に向きます。政治は情念のぶつかり合いです。法律論議はもう飽きました。

野党第一党の民主党が開き直った狂気を見せた時、ようやく安倍総理の脳裏に法案を通すならば首と引き換えかという思いがよぎります。

そこで初めて法案先送りのかすかなチャンスが生じます。今のままで民主党は押し切られます。それは、ただちに民主党の存在の危機につながります。