三次元レーザースキャナーによる大涌谷計測

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先月19日火山活動が活発化してる箱根大涌谷火口周辺を三次元レーザースキャナーという最先端の計測機で調査しました。

日本写真測量学会の中にある動体計測研究会で取り組みました。三次元レーザースキャナーを開発したベンチャー企業の技術者ら3人で行いました。

私は、富士山噴火後の土石流や洪水に備えるためには酒匂川流域の詳細なデータを再計測する必要があると思い日本写真測量学会に加入しました。

箱根温泉供給株式会社から温泉井戸の修理に入る際に土砂崩れなどの危険性を事前に予測するための手段はないかと相談を受けたのがきっかけでした。

早速学会の仲間に相談しました。大涌谷計測に対しては関心が深く既に計測できたらと準備をしていたことから話がトントン拍子で進みました。

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昨日、午前中に大涌谷地域の砂防を担当する小田原土木センターの担当グループに午後には箱根町の山口町長、川端副議長に説明しました。

皆さん大変に興味を持っていただきました。研究会としては大涌谷地域の調査を続けて詳細なデータを得たいと考えています。

三次元レーザースキャナーは一機3000万円もする高額な精密機械です。最大1.4キロメートル以上離れた地点から計測できます。

大涌谷のように火山活動が活発化して危険区域に入れない時に区域外から計測することが可能ですので安全に調査することが出来ます。

レーザーを照射して跳ね返って来るデータを直ちに画面に表示することが出来ます。一見するとカメラの映像と同じに見えます。

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詳細に観察すると無数の細かい点としてデータが取り入れられていることが分かります。それぞれの点が縦横高さの三次元のデータを持っています。

観測していられた無数の点をコンピューターを使って加工することによって樹木を取り除いた山腹図を作成したりすることが可能です。

今回の調査は安全確保のため時間的な制約があったうえに火口付近には近づけないために三か所からの計測に限られました。

一番の難問は火口から吹きあがる水蒸気です。水蒸気もデータとして把握してしまうために水蒸気の出ている周辺の地表面のデータがとれません。

この点を除けば3時間弱の短時間で限られた地点からの計測であったにも関わらず満足できる調査結果が得られました。

更に調査を積み重ねて精密な基礎データが得られればこの基礎データとその後の変化を読み取ることが可能となります。

地表の変化が顕著であれば何らかの事象の変化があったことが確かめられます。比較検討も精密に行うことが出来ます。

箱根町の山口町長をはじめ関係者には安全に計測が出来るきわめて有効な手段であるので神奈川県や国に対し本格調査を働けてほしいと要請しました。

山口町長らも理解を示してくれ近く黒岩神奈川県知事と面談の機会があるので直接はなしてみるということでした。

ロボットの開発といっても時間がかかります。ドローンの調査は操作が難しいですし墜落の危険性を無視はできません。

安全に調査が出来て学術的にも防災的にも有効なデータが得られるとするならば緊急事態が発生している今こそ実施して欲しいです。