バイオマスタウン真庭ツアー報告2

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(岡山県真庭市銘建工業工場内)

今回のツアーで一番印象に残ったのは原木市場で解説してくれた方の言葉でした。林業、製材業という土台がしっかりしないといけないと強調されてました。

バイオマスというカタカナ言葉に幻惑されてはなりません。林業や製材業があるから副生産物が発生してその利活用によってバイオマス発電が可能となります。

逆にいえばバイオマス発電やバイオマス関連産業に飛びついたところで土台がしっかりしていなければ絵に描いた餅に終わるということです。

発電の元となる原料が地域内で安定的に供給できなければよそから原材料を持ってくることになります。地域内の循環の経済を創ることに逆行です。

バイオマス発電に取り組めば国や県から破格の補助金が出るということで飛びついても上手く行きません。発電所だけが出来て発電できないなんてことも起こります。

真庭市には製材会社が30社もあります。国産材限定の数値ですが年間20万立法メートルの木材を扱って12万立方メートルの製品を出荷してます。

日本でも最大級の製材会社があります。銘建工業です。応対していただいた社員の方が10軒に1軒は銘建工業の製材を使用していると思うと話していました。

国内シェアは20パーセント程度です。ただ、コスト面からみて輸入材に頼らざるを得ないということでした。年間生産量は25万立方メートルで従業員数は250人です。

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銘建工業社内でバイオマス発電をいち早く取り組みそれが真庭市全体の事業へと発展しました。藻谷浩介さんの『里山資本主義』で詳しく紹介されました。冒頭に登場します。

1984年から発電を始め1998年からは1950キロワットの発電を行っています。これぞ先駆的な取り組みと言えます。驚嘆しました。

製造所内から出る樹皮や木片を燃料として活用しています。ゴミとして処理するには経費がかかります。発電に使えば資源となります。

設備投資に10億円かかりました。しかし処理経費が減少した上、余った電力を中国電力に販売することが出来るようになり年間1億円ほど浮くということでした。

視察では見れませんでしたが4月に開所した真庭市の発電所は1万キロワットです。年間14万8千トンの燃料が必要です。順調に調達できているということでした。

41億円の事業費がかかりました。資本金2億5千万円で新会社を設立して対応しています。この新会社の中核をなすのも銘建工業です。

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銘建工業の取り組みは発電に限りません。ペレットと呼ばれるストーブ用の燃料の製造があります。カンナくずなどを圧縮してカプセル状にしたものです。

CLTと呼ばれる合板材にも挑戦しています。強度がコンクリート並みで高層建築にも耐えられるということで注目を集めている素材です。

今年度中に建築基準法の運用が変わり日本でもCLTで中層までの建築が出来るようになる予定です。CLTの活用が急速に広まる可能性が出てきました。

真庭市には林業や製材業の土台があってその中に銘建工業という挑戦を続ける企業の存在があることを知りました。絶対に見落としてはならない点です。