バイオマスタウン真庭ツアー報告4
岡山県真庭市の視察報告、最終回です。藻谷浩介さんの『里山資本主義』、増田寛也さんの『地方消滅』で注目された真庭市とて前途は、楽観はできません。
第一回目の視察報告で紹介した通りです。9町村が合併し規模を大きくして人口減少、少子高齢化に対処しようとしましたが現状は厳しいです。
今年4月1日の人口は48204人で9月1日は48017人です。5か月で187人減ですので一年で2244人人口が減る計算になります。
『地方消滅』に掲載されている人口推計では2040年の人口は29941人で子供を産む世代の女性は1942人で2010年より52.1パーセント減となっています。
消滅可能性都市にランクされました。バイオマスタウンとして華々しく脚光を浴びている真庭市の厳しい現実は現実としてきちんと押さえておく必要があります。
真庭市の市役所は立派です。27億3500万円円かけて建設し半分は借金、国その他の補助金が7億5千万円、残りが4億5千万円の積立金と市の財政からです。
借金は合併特例債といって特別な借金です。大半が国からの後年度の負担によって賄われ市の負担は極めて少額です。合併を促すための方策でした。
2011年4月から本庁舎での仕事がスタートしました。市役所の広場はバスのロータリーとなっていました。真庭産の木材で作った荘厳な雨除けには目を奪われました。
9本の太い柱で出来ていました。9町村が合併したということで柱は9本です。市役所の建設が市町村合併のシンボルであったことが良く分かります。
バイオマスのボイラーによる空調設備があります。スイス製の設備です。木材チップやペレットを燃料にして燃やし3000平方メートルの空調をまかなってます。
真庭市の財政は300億円規模です。財政力は厳しく自前の賄える財源は30パーセントほどで大半が国からの補助に頼って財政運営しています。
市長は真庭市出身の京都府の副知事が2013年4月から就任されています。最初の選挙から無投票です。市長になって欲しいとの市民の要請に応えた格好です。
京都府で生え抜きの副知事として能力を発揮されたキャリアに着目し市民は行財政改革を始めかじ取りを委ねたのだと推測します。プロの手腕への期待といったところです。
就任されて2年ですので成果を出すところまで行かないと思います。推測でしかありませんが山林に囲まれ広大な面積を有する真庭市を活性化させるのは難儀です。
財政力は乏しく人口減少、少子高齢化は進みます。行財政改革を進めれば弱者にしわ寄せが行きます。学校の統廃合は地域の絆が弱まります。
四面楚歌のような環境に取り囲まれているようなものです。一筋縄ではいきません。突破するのは冷徹な理屈ではなく燃えるような情熱が鍵だと思います。
有能な行政マンの市長に求められるのは冷徹さではなく情熱です。困難な状況下で理屈は人を委縮させます。意気に感じて動く人を増やすのが大切で情熱しかありません。
真庭市はここに至るまで民間側の情熱が町を引っ張ってきました。民間の人材が豊富です。今度は行政が応える番です。行政が夢中になって取り組めが活路が見い出せると思います。