不信任を受けるべきは自民党ではなく民主党。

集団的自衛権の行使を条件付きでい容認する安全保障関連法案が成立しました。自民、公明党の与党が圧倒的多数ですので成立するのは当然と言えば当然です。

安倍政権にとって見込み違いだったのが世論の反対運動が予想を超えて広がったことだと思います。憲法学者たちからの憲法違反だとの声が反対世論を促進させました。

少数野党の民主党にとって抵抗の足がかりが出来ました。国会内で暴れても世論が味方してくれる可能性が高まりました。しかし、この絶好のチャンスを活かせません。

国会最終盤に来て内閣不信任だとか騒いでも遅いです。綿密な国会闘争の工程表を水面下で用意して時間切れに追い込む戦術を取らなければ実効性を持ちません。

民主党には国会闘争を戦い抜く軍師がいないのでしょう。戦いの工程表があったとは思えません。論議の中で憲法違反を言っていれば法案を阻止できるなんてあり得ません。

圧倒的に少数野党だという基本認識が出来ていません。民主党には頭の良いエリートの皆さんが綺羅星のごとく集まっているのですが戦うことを知りません。

乱暴狼藉をしてでも止めてみせるという狂気がこの手の政治ドラマには不可欠です。狂気を演じられる役者が民主党にはいません。人材不足です。

法案審議の節目節目で乱暴をして自民党に時間切れを意識させないことには焦りは生まれません。公明党の支持基盤の創価学会をもっと揺さぶることも出来たと思います。

大胆な戦術を展開する背景には水面下のうごめきはつきものです。自民党にとって創価学会が揺ぐことが一番のアキレス腱です。嫌がることをしなければ事態は動きません。

国会外での市民の皆さんの反対デモに依存していても決め手にはなりません。決めるのは国会議員です。国会議員がバッジを賭けて戦って初めて状況は変わります。

チャンスはいくらでもありました。自民党推薦の憲法学者まで法案は違憲だと意見陳述したのにその時点で審議を長期にストップでき9ない知恵の無さにはあ然とします。

昨日の参議院本会議で山本太郎議員が自民党は死んだとか称して喪服で牛歩めいたパフォーマンスをしたと報じられました。自民党は死にません。

権力を持っていたいという強烈な意識を共有しています。自民党が崩れるとしたらこのままでは選挙が戦えず落選の危険があると議員が意識した時です。

現状程度の民主党の抵抗では自民党議員の意識はそこまでいきません。山本太郎議員は政治を知らないのでしょう。権力を維持したいとの情念は強烈です。

今回の安保をめぐる論議ではっきりしたのは死にかけているのは自民党ではなく民主党です。世論の反対がこれほど強いのに活かせない野党は存在感がありません。

安倍政権へ内閣不信任案を提出なんてブラックジョークです。国民から不信任案を受け取らなければならないのは民主党です。このままでは民主党は存立の危機を迎えます。

そもそも本気で法案を阻止しようとしていたのか私は疑念を持っています。安保国会を通じて民主党は戦う野党として行動できないことが明らかになりました。