鬼怒川堤防決決壊から酒匂川の治水を考える。1
今月10日に発生した鬼怒川堤防の決壊の映像を観て神奈川県西部を流れる酒匂川の治水へのかねてよりの懸念が吹きあがってきました。
鬼怒川は国土交通省管理の一級河川でスケールは違います。しかし酒匂川と治水の形態が極めて似通っていて記録的な豪雨が襲えば決壊もあり得ると直感しました。
鬼怒川は、日光を源流として河川の全長が177キロ、流域面積が1760平方キロメートルです。栃木県、茨城県の2県と19市町を流れています。
江戸時代に徳川家康の命を受けて利根川の河川の流れを東に大きく変更させる大治水工事を行ったことに伴って鬼怒川も流路が変わりました。
酒匂川は、富士山、箱根外輪山、西丹沢を源流とし全長46キロメートルで流域面積は582平方キロメートルです。静岡県、神奈川県、3市5町を流れています。
酒匂川も江戸時代の初期に初期に大きく流路を変える土木工事が行われ一体が水田地帯になりました。利根川・鬼怒川水系のの歴史と似通ってます。
違いは鬼怒川は国土交通省管理の一級河川、酒匂川は上流部の鮎沢川水系は静岡県、その他の流域は神奈川県の管理です。県管理の二級河川です。
今回の大雨は観測史上最大でした。鬼怒川の水県地に当たる日航のある栃木県今市市の降り始めから二日間の雨量は647・5ミリでした。
下流の茨城県常総市では堤防の決壊によって40平方キロを超える地域が浸水被害を受けました。開成町の面積の6倍が水浸しになったことになります。
酒匂川流域でももう少し大雨が続けば同様のことが発生したかもしれないことがありました。2010年9月8日の台風9号の大雨でした。
上流部の山北町で1日に600ミリ近い雨が降りました。下流部の小田原市内では土手すれすれまで水かさが増しました。雨が長期化しなかったことが幸いしました。
今回の土手の決壊で被害を受けた常総市は救援活動の本部となるはずの市役所まで浸水被害にあいました。昨年建設されたばかりの建物です。
市役所は災害活動拠点ですので建設場所は慎重を期したとは思いますが結果的にはお粗末と指摘されても致し方ない事態となってしまいました。
避難指示の遅れとか様々な指摘が市に対してなされています。水害に対してのハザードマップもありそれに基づいて対策をとったはずですが機能しなかった部分があります。
酒匂川流域の自治体にとって他人事ではありません。流域各自治体、それぞれ水害に対するハザードマップを持ち対策を持っています。
しかし、実際に水害が襲って来るというリアルな実感を持って対策を練っているレベルには達していないと思います。各市町の連携も不十分です。
私自身も町長時代酒匂川を渡る十文字橋の陥落をはじめ大水を数度体験しました。しかし、土手の決壊が実際に起こるとは思っていませんでした。
酒匂川と治水の体系が似通っている鬼怒川で現実に大水害が発生しました。酒匂川流域関係の自治体は対策の練り直しが早急に求められています。
神奈川県と静岡県の二つの県が指導力を発揮して関係市町を束ねて酒匂川の水害に対する対策の再検討に取り掛からないと鬼怒川の二の舞になりかねません。