デジタルミュージアムの可能性へ開眼

昨日、東京・白山にある日本写真測量学会で最先端の写真測量と映像化についての勉強会を開催しました。7月に学会に加入して最初の取り組みです。

測量の技術は目覚ましい進化を遂げています。車で動きながら測量をしたり、ドローンと呼ばれる無人機に測量機器を搭載したりできるようになっています。

地上型の測量機器も三次元レーザースキャナーと呼ばれる高性能の機器が開発されて精密な測量が可能となりました。富士山の噴火対応に応用すべきだと考えてます。

千葉大学と民間企業3社の担当者から報告してもらいました。また、NHKにも特別にお願いして参加してもらいNHKの画像処理の概要を説明してもらいました。

2時間で5件の発表ですので駆け足でした。全員が技術屋さんですのでパソコンを駆使して動画で測量と概像処理の実際を見せてくれました。

技術の進歩をまざまざと実感できました。一つ一つは点のデータが群となって集合されるとリアルに実態を再現できます。現場を改めて見ているようでした。

動きながら計測できるのと空からも調査できるのは興味をひかれます。富士山が噴火すれば酒匂川の流域には大量の砂が降り注ぎ洪水を引き起こします。

流域を計測し実態を精密に再現することが出来ればどのくらい砂が堆積し、どのような土砂崩れや洪水が起こる可能性があるかなど様々なシミュレーションが可能です。

写真測量技術の災害への対応が今回の勉強会のテーマでしたが一つだけ別の観点からの報告がありました。デジタルミュージアムについてでした。

すこぶる面白かったです。世界遺産に登録された長崎県の軍艦島に関するデジタルミュージアムが今月オープンしました。軍艦島クルーズを行っている民間会社が始めました。

最先端の写真測量によって得られたデータを最先端のデジタル技術によって画像として映し出し軍艦島に行かなくても上陸したかのように疑似体験が出来ます。

過去にあった軍艦島の石炭を掘るために造られた坑道もあたかも今現在存在するかのように画像として映し出され鉱夫となって中を移動する疑似体験も可能です。

デジタルミュージアムでいわば架空の現実を味わった後に船で長崎港から軍艦島にクルーズに出かけるのは新しい旅行の在り方で新鮮な感じがしました。

過去の建物を実物として再現するのには手間暇も資金も必要です。デジタル技術を駆使して架空であっても実物と同じぐらい精巧に再現できれば代替は可能です。

災害への意識を高めることと同時に観光資源としても応用可能だと直感しました。たとえば酒匂川流域に小さなデジタルミュージアムを建てたとします。

酒匂川流域の自然と景観、歴史的な遺跡をたっぷりと味わいながら万が一富士山が噴火したらどのような事態が起こるかを映像で疑似体験することが可能です。

観光資源であると同時に災害教育施設です。遺跡を復元したりするのではありませんので経費が大幅に削減できるのも魅力的です。実現を目指す価値があります。