地域政治の焦点は、沖縄、福島、北海道と大阪

神奈川大学の地域政治論の後期は視点を神奈川県から日本全体に移します。前期は、神奈川県内の政令指定都市の問題、基地問題、県西部の課題を講義しました。

後期はオールジャパンの視点から地域政治の焦点を探ります。何といってもいの一番は沖縄です。沖縄の地域政治から目を離すことはできません。

地方分権の観点からもうねりが起こる可能性を秘めています。普天間基地の名護市辺野古への移設反対運動は沖縄の自己決定権という自治の本質的な問題を抱えています。

地域の自己決定権なのかそれとも国策なのかという二者択一です。安倍政権は国策の貫徹以外に道はないという姿勢を堅持していますが沖縄の反発は強いです。

翁長雄志知事の沖縄の住民の人権を踏みにじっているとの反対姿勢は強じんです。妥協する可能性は皆無に見えます。先行きは見通せません。

とことん対立が進むと大混乱もあり得ます。独立論まで拡大する様相になることも大いに考えられます。アメリカの議会や市民へも沖縄の反発が伝わっていくと見ます。

アメリカは民主主義の国ですので沖縄が県知事を先頭に自己決定権と沖縄の人権を守るという姿勢を前面に打ち出してとことん戦った場合には共感が広がると思います。

沖縄は強固に自治を主張してくるでしょう。沖縄の自治権をどこまで認めて行くのか大問題となります。自治州までいけば日本の地域政治の革命です。

福島も原発の問題が長期の課題ですので日本の地域政治の焦点であることは言うまでもありません。国策のいわば犠牲となった形ですので人権が問われます。

福島の原発の場合は沖縄と違って自ら原発を誘致してきた歴史的な経緯があります。沖縄のような激烈な闘争に発展することはないと思います。

しかし、原発汚染水の処理の問題など漁業関係者の生存権を脅かしかねない問題も孕んでいます。抵抗運動が広がれば自治の問題へとつながっていきます。

北海道は、経済問題です。自治体の財政破たんが忍び寄っています。夕張の再建も途上です。一方で札幌への一極集中が顕著に進んでいます。

日本全体の地域政治の課題が北海道というエリアで極端な形で現象化されているといえます。打開の方策として用意された道州制の特区は効果を挙げてません。

国の権限を大胆に移譲し事実上の独立州として振舞うことも制度的に認められているのに進まない構造はどこにあるのか探る必要があります。

最後に大坂です。11月の大阪府知事、大阪市長のダブル選挙で大阪都構想が争点となります。5月の住民投票では僅差で都構想は敗れました。

橋下市長が出馬せず背後に下がる格好の選挙で維新勢力が勝利を収めれば大阪都構想は生き延び再び住民投票へともつれこんでいく可能性が出ます。

橋下氏主導で大阪都構想は降ってきた形です。大阪の府市民が今度は自らの問題として受け止め進路を決めるまで理解が深まるかどうかが最大の注目点です。

理解が深まりその結果として都構想を選択したとしたら大阪は自立への道を歩むことになります。日本第二の都市圏の中核が自立となると国家体制の大転換が始まります。