「独断専行はダメ」、議会から学んだこと。

神奈川大学の講義で首長のあり方を講義しています。昨日は、首長として最高権力の発揮手段である専決処分について話しました。

地方自治法179条180条にしっかり書き込まれた首長の権限です。議会の議決なしで執行できるのですから絶対権力とも言って良い代物です。

2008年から11年にかけて鹿児島県の阿久根市の市長がこの権力行使を連発したことで世の注目を集めました。職員の給与をバッサリと切りました、

公務員は身分が安定していて給与が高いのに仕事をしない、こんな激情から突き進んだことは容易に想像できます。世間の支持もあります。

私も専決処分を行使したことがあります。2000年のことです。町長に就任して2年余り、身の程もわきまえずに調子に一番のっていた時期でした。

4月にパークゴルフを通じて交流をしていた宮城県田尻町(現大崎市)でパークゴルフの大会があって私も参加しました。町長からレンガの話を聞きました。

オーストラリア産の天然のレンガで貴重なものでした。立て替え工事のために処分しなければならないということでした。無償で構わないと言われました。

運搬経費さえ用立てれば開発用地の広場などに活用できると思いました。町に帰ってから職員に相談したところ少額なので専決処分という手があると聞かされました。

当時、専決処分の何たるかも全く知りませんでした。軽い気持ちで承諾し手続きを進めました。6月に議会があってから騒ぎになりました。

少額とはいえ税金を投入するのに議会にも諮らず決めるのはけしからんと猛反対でした。結局補正予算は否決されてしまいました。

得意の絶頂からけつまずいた瞬間でした。専決処分は議会で否決されてもその決定は有効だというのが通説です。やってしまったことは仕方ないみたいな話です。

私に対し町民から訴訟が起こされ損害賠償を求められれば負けたでしょう。振り返ってみて予算の執行手続きが正当だったとは思いません。

専決処分は災害などが発生して議会を招集している時間がない倍いに限定して認められている権限だと考えるのが常識です。例外中の例外です。

当時の私は議会を重視はしてませんでした。勉強しているようにはとても見えませんでした。何のために存在しているのかと疑ってました。

しかし立派な仕事がありました。常識から判断して首長の行き過ぎをチェックする仕事です。法律をこねまわす必要はありません。常識があれば良いのです。

議会がなければ権力の行使が一方的になってしまうと痛感しました。15年前の出来事ですが今考えてみても良い勉強をさせてもらったと思います。

地方議会の程度の悪さが色々語られています。しかし存在意義はあります。常識を持って行政の執行についてモノ申せば良いのです。自信を持って欲しいです。

もうひと勉強して逆に提案できるようになれば本物です。人口減少で財政難の時代、首長は迷っています。今こそ議会が活躍する時だと思います。

首長に比べれば責任は軽く自由にものを言えます。この身軽さを活かして思い切った提案をすべきです。首長の迷いを取り払うぐらいの気持ちが必要です。