関東学院大学シンポジウム「人口減少社会と自治体」1

昨日、横浜でシンポジウム「人口減少社会と自治体」があり開成町の事例報告をする機会をいただきました。主催は関東学院大学です。

関東学院大学では来年4月より法学部内に「地域創生学科」を開設するとのことです。地域によりこだわり密着した大学像を目指しています。

シンポジウムもそうした方針に沿っての企画です。大学の副学長で法学部教授の出石稔氏より開成町の歩みを紹介して欲しいとの依頼がありました。

最初に国立社会保障・人口問題研究所の森田明所長より日本の人口推移の予想について基調講演がありました。人口減は避けられないということです。

この事実を受け止めてどのような国と地方の姿を創造して行くかが焦点です。森田所掌は既存の市町村の枠組みを超えた連携の大切さを強調してました。

市町村の枠を超えて地域を捉え直して中心都市とその周辺地域との住み分けを考えて共存共栄の地域づくりをしなくてはなりませんので私も森田氏の考えに賛成です。

ではどのような範囲で地域を捉えるかということが問題となります。私は事例報告の中で流域を一つの単位として発想し町づくりの再点検が必要だと述べました。

富士山、箱根外輪山、西丹沢を源流とする酒匂川が形成した扇状地である足柄平野の中に開成町は位置します。河口の小田原市が地域の中心都市です。

これまで河口から平野、山間部の連携は不十分でした。ましてや県境を越えた源流部である静岡県御殿場市や小山町との一体感は乏しかったです。

災害対応を考えれば水源地域と中下流部の連携の大切さはすぐ理解できます。しかし実態は、県が違ったり市町が異なったりすると円滑に行きません。

意識転換が急務です。流域単位で地域づくりを見直して新しい地域像を創造していく必要があります。これが自然のあり方に適っています。

確かに開成町は今現在人口が伸びています。しかし単独の小さな町が人口が増えたといっても影響は知れています。ただし町づくりの方針は大いに参考となります。

長期のビジョンで水田景観を守りあじさいを植えるエリア、既存の住居と公共施設を集中したエリア、新市街地の開発エリアの三分割の土地利用は開成町の特色です。

小さくても田園と住居と開発地のバランスがとれた街並みが人口増の基本的な要因です。長い年月かけて積み重ねたもので手品をしたのではありません。

既に始まっている人口減という事実を受け止めてそれに適応した長期のビジョンづくりが何より大切です。範囲は、わが地域でいえば流域単位がベストです。

まだ夢をもう一度に幻想を抱いて人口が増加する時代が再来するという根拠の無い夢から覚めなくてはなりません。どのあたりでバランスをとるかが重要です。

各自治体がばらばらで考える事柄ではありません。小田原市が中心となって各市町のビジョンをすり合わせて共存共栄の姿を具体化することが不可欠です。

現行の政府の地方創生が各自治体単位を基本としているのが気がかりです。妙な競争意識から人口減の実態に合っていない構想に変質してしまったら意味がありません。