関東学院大学シンポジウム「人口減少社会と自治体」2

国立社会保障・人口問題研究所の森田朗所長の基調講演と私の実例報告の後、「人口減少社会と自治体」をテーマにパネルディスカッションがありました。

人口が減少している自治体の代表として小田原市の加藤憲一市長、増加している自治体の代表として川崎市の福田紀彦市長が参加されました。

それに地域金融機関の立場から町づくりに関わっている湘南信用金庫の石渡卓(たかし)理事長が入り、コーディネーターは関東学院大学の出石稔教授でした。

最初にパネリストの顔ぶれを拝見した時に加藤市長の勇気に拍手を送りたい気分でした。人口が減っていると名指しされてなかなか出てこれません。

人口が減ることは一般的に歓迎されません。活力が減少するとして首長批判にもつながります。人口減少を受け止める心構えを持つのはそう簡単ではありません。

加藤市長は堂々と参加されました。この対応は素晴らしいです。県西地域のリーダーとして大いに実力を発揮するだけの力量を持ち合わせていると思いました。

加藤市長は人口減少それ自体に対して独自の信念を持ってました。経済成長と歩調を合わせ急角度で増えて行った日本の人口増加について疑念を持ってました。

人口が増え活力が増加するのは望ましいことですがその一方で地球環境の悪化などマイナス面も当然あります。人口減少は、行き過ぎた現状を調整させる効果もあります。

加藤市長は人口減少という現象は人間社会が持続するためのやむ得ぬ現象という一面があるという捉え方をしてます。その基本線があるから討論を受けて立ったのでしょう。

討論の中で加藤市長は余りに急激に人口が伸びたことへの警鐘を鳴らしていて今後人口が減る局面の中でどう調和を図るかという意見を表明してました。

安倍政権が人口減少を止めようとしていることに対しても内心懐疑的なのではないかと推測します。それより自然に調和して住みよい地域づくりを試行していると思います。

私は加藤市長の考え方に基本的に賛成です。人口減少は既定の事実です。このトレンドを変えられません。その前提の元でどのような日本を創るかが大切です。

加藤市長も流域単位で地域づくりを進める考えに賛同してました。流域単位で力を合わせて行けば災害に強く暮らしやすい地域づくりは可能です。

ただ急激に人口が減少するのは困ります。激変を緩和させるための施策が必要です。利便性が高く地域の活力を向上させる拠点都市は役割を果たす使命があります。

この点については加藤市長はもっと積極的に打って出る必要があります。市内の経済活性化は不十分です。もっと人を寄せる思い切った施策が求められます。

その上で流域全体の視野を持って小田原市以外の町づくりに関しても発信して欲しいです。富士山の噴火対応は格好のテーマです。流域全体の連携を一気に高めます。

県西地域はもはや各市町ばらばらで対応できる余力はありません。地域全体をまとめて行く覚悟が大切です。加藤市長のリーダーシップにかかっています。