足柄の歴史再発見クラブ10周年

今日で11月もおしまいです。明日からは師走となり慌ただしくなります。「足柄の歴史再発見クラブ」は10年前の年の瀬に産声を上げました。

28日に開かれたクラブの定例会でこの話が話題となりました。10周年の催しをしようということになり記念講演会を開催することにしました。

クラブが正式に発足したのは2006年2月です。記念講演会は2月20日(土)の午後2時としました。場所は開成町民センターを予定してます。

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クラブの成果は『足柄歴史新聞 富士山と酒匂川』に結実しています。富士山の宝永噴火から300年の節目に年に刊行され小学校の副読本になってます。

クラブの有志が今年も開成町内の二つの小学校で出前授業を行っています。2日と7日、に回に分けて2010年に開校した開成南小学校で行われます。

一回目は学校内での授業で二回目が堤防など現地の見学です。クラブのメンバーに小学校の教師経験者がいられますので詳細な計画が作られています。

「足柄の歴史再発見クラブ」は10年間でよくぞここまでというぐらいに様々な活動を積み重ねてきました。二つの大きな再発見を成し遂げました。

一つは富士山の噴火後に祀られた神社の守り神が中国の治水神の禹王であることです。埋もれていた事実に光を当てて見事に現代に蘇らせました。

地名や石碑に彫られた文字も加えると関連する遺跡は日本全国で93ヶ所になるということです。詳細な調査が進めばまだまだ増えることは確実です。

本場中国は数えきれないぐらいあります。台湾や香港、韓国でも存在が確認されており禹王の祀り方に違いがあることを佛教大学の植村善博教授が解明しています。

クラブの顧問の大脇良夫さんと植村教授が中心となって禹王研究を進める「治水神・禹王研究会」も結成されました。研究会誌は2号まで出されています。

禹王に関連のある地域で活躍している郷土史研究者が一堂に会するサミットも既に五回行われています。今年は大分県臼杵市で開催されました。

今年これまでの禹王研究の総決算とも言える大きな催しが行われました。5月に開成町で東アジア文化交渉学会の開催され禹王研究の成果が発表されました。

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もう一つ再発見があります。酒匂川に三か所残るかすみ堤の機能に着目したことです。酒匂川の治水を江戸時代までさかのぼり再発見しました。

堤防が二重構造になっているかすみ堤は大水の時は、切れている堤防の間から水が逆流し遊水地の機能を果たします。大水の時に効果を発揮します。

コンクリートで強固な堤防を築くだけでなく柔軟な発想で治水を考えることが現代的な治水方法だと思います。かすみ堤をテーマに研究を進めます。

「足柄の歴史再発見クラブ」が再発見し問題提起した「治水神・禹王」と「かすみ堤」はこれからもっと注目されることは間違いありません。

次の10年、2025年末には「治水神・禹王」は日中の文化交流の懸け橋となり「かすみ堤」による治水は流域を守る要となっているはずです。