「富士山と酒匂川、噴火と砂地獄を考える住民の会」の発足
昨日、開成町民センターで「[仮称]富士山噴火砂地獄を考える住民の会」を立ち上げるため集会を開きました。50人参加で会議室は満席でした。
会長には、小田原・足柄地域のスーパーの名誉会長で二宮尊徳先生の教えを実践されて農場を運営されている田嶋享さんに就いていただきました。
幹事の一人で小田原市内で映画祭などの市民活動を展開している石塚義孝さんから鋭い指摘がありました。名称には酒匂川を入れる必要があるという意見でした。
個別の市町の枠組みではなく市町の枠を超えて酒匂川の流域全体で取り組まなくてはならない課題であるということでした。私も同感です。
石塚さんの意見を踏まえて「富士山と酒匂川、噴火と砂地獄を考える住民の会」とひとまずしました。更に良い案があれば修正することにしました。
集会には地元有力企業のパナック工業の中村健作会長にも参加していただきました。民間企業は富士山の噴火を前提に迅速な対策を取っているからです。
工場の建物に砂が入り込まないような防御策を取ることを始め、除去した砂の捨て場所まで確保しています。正規職員の備荒積立金まで制度化しています。
何という手際の良さでしょうか。中村会長は「心配性だから。」と謙そんされていますが学ぶべき点が大ありです。特に行政のトップの皆さんに知って欲しいです。
この他、地域に立地している最大手の富士フイルムも富士山噴火対応を着々と準備されているという話を伺っています。一般の市民、町民対策が出遅れてます。
各民間企業がどんなに頑張っても一般家庭や地域全体を守ることにはつながりません。首長の指導力で行政が音頭取りをしていくことが不可欠です。
地元開成町の町議会議員や隣接する南足柄市、小田原市、松田町の町議会議員も参加されてました。議会で論議し行政に働きかけて欲しいと切望します。
砂地獄という表現を使って最初にこの問題の重大さを提起されたのは、足柄の歴史再発見クラブ顧問の大脇良夫さんです。大脇さんに解説してもらいました。
300年前の富士山・宝永噴火は現代にも影響を及ぼしています。2010年の集中豪雨で酒匂川の上流部で土砂崩れが発生し山中に堆積していた噴火砂が河川に流れ込みました。
スコリアと呼ばれる黒い砂です。下流の小田原市内で浚渫されてまるで炭鉱のぼた山のように積み上げられました。宝永噴火は300年の時空を超えて影響を与えています。
元測量メーカーの技術者でかすみ堤と呼ばれる江戸時代の治水手法に詳しい井上三男さんにも話題提供をしてもらいました。江戸時代の知恵は優れた点があります。
堤防をつなげず二重構造にすることで大水の時には一時的な遊水地となり徐々に排水できます。300年前は砂とともに濁流が襲ってきた訳ですので有効なはずです。
かすみ堤についてはもっと科学的な検証を加えて有効性を学術的に明らかにする必要があります。勤務する日本大学の専門研究者の協力を仰ぐことにしてます。
考える会はスタートしました。来年4月下旬に発会記念講演会を開催する予定です。場所は二宮尊徳先生の偉業を讃えるため生家近くに建てられた尊徳記念館を考えてます。