甘利スキャンダルと今後の政治動向を読む。
明治維新を成し遂げた英雄の一人、西郷隆盛の言行録、「西郷南洲遺訓」は為政者たるものの心構えは何かを知る手引きです。町長時代、座右の書としてました。
私なりの現代語訳ですが次のような書き出しで始まってます。「執務室に入り政治を執行するのは天の道を行うものであるから、いささかも私心を挟んではならない。」
安倍内閣の最重要閣僚の一人、甘利朗経済再生担当大臣が建設業者からの不明朗な資金提供の事実を認め閣僚を辞任しました。大臣室で50万円受け取りました。
大臣室で業者から現金を渡されて平然と受け取る神経が理解できません。日常的にこの種の現金のやり取りがあり感覚がマヒしていたと言われても仕方ありません。
これではいくら立派な政見を語っても全く信頼できません。一皮むけば穢れた実像があるのですから説得力がありません。表と裏のかい離がひど過ぎます。
国際テロ、核実験、人口減少、経済の低迷、日本は極めて難しい局面に立たされてます。個人の欲得に拘っているような政治家に国家の命運を託すわけにはいきません。
甘利スキャンダルの衝撃は,、安倍内閣を直撃します。甘利大臣は、安倍政権の看板政策のTPP=環太平洋経済連携協定の取りまとめの責任者です。
安倍総理大臣の施政方針演説ではTPPは何と地方創生の中核として論じられ、TPPによる自由競争は地方を元気にするチャンスとまで言い切っていました。
アメリカの後ろ盾がある政策にはここまで一生懸命になれると呆れました。しかhし、旗振り役がこつ然として姿を消した訳です。影響がない訳がありません。
野党第一党の民主党が強じんならば政権の存続の危機です。ところが民主党には小異を捨てて大同の流れを創る大胆さ、凄みが欠如してます。安倍政権は救われてます。
国会闘争も捨て身の激しさを感じません。これでは巨大与党の壁に一撃を食らわすことはできません。甘利スキャンダルという天与のチャンスを活かせないと思います。
安倍政権は反転攻勢を次々と仕掛けてくるでしょう。日銀によるマイナス金利の断行で株価を上昇気流に乗せようとした試みもその一環に私には見えます。
内政の危機をしのぐには外的な緊張状況に国民の関心を向けさせるのが一番です。対中国に対する危機感を煽ることで政権の求心力を高めようという手段に踏み切るのが心配です。
2012年4月の当時の石原慎太郎都知事のような振る舞いが飛び出してくることもあり得ます。小競り合いにでもなったら一気に緊張は高ってしまいます。
安倍政権はここぞとばかり求心力を高め中国と対峙する方策に出ることは当然です。国力に自信を深めている中国だって同様です。双方のナショナリズムが火花を散らします。
2012年の日中国交正常化40周年は尖閣問題で散々でした。2017年の国交正常化45周年も再びお祝いどころか軍事衝突の中で迎える可能性もあります。
沖縄でまたもや戦火というような事態にするとしたら日本国民は先の大戦の敗北と苦難から何も学んでいないのと同じです。杞憂にさせないとなりません。