学生に学ぶ地方自治
神奈川大学法学部の後期試験の採点の真っ最中です。政策過程論が199人、地域政治論が204人の合わせて403人の答案とにらめっこしてます。
いずれも論文形式ですので老眼には堪えます。試験の最中何度も大きな文字でしっかりと文字を書くようにと要請した効果が多少は現れてました。
政策過程論の採点が終わり結果を大学に提出しました。基本的に全員に単位を与える方針ですので少し甘めに採点しました。一人当たり5点上乗せといった感じです。
政策過程論は地方自治の現場において最も重要な要素となる首長と議会と住民それぞれのあり方を講義の内容を踏まえて自由に論じてもらいました。
参考となる意見も多く見受けられました。部活動やサークル活動での実体験に基づいて首長とは何かを論じていた答案が2人いいて目を引きました。
このうちの一人は人を引っ張るには情熱が一番大切だと述べてました。この学生はリーダーではなく一部員の立場から見ていて、そうした結論に至ったようです。
「情熱の中には人を引き付けるカリスマが備わっていると感じた。」ということです。情熱を持って自らの考えを語るリーダーには天上の神が舞い降りるということでしょう。
ほとばしる情熱を感じさせる首長が少なくなっているよう思います。事務当局が作成した文章を読んでいるようでは話になりません。自分の言葉で語ることが第一歩です。
自らの部活動体験を記述したもう一人の学生はサークルの会長の体験者でした。首長の四条件を述べてました。最初に私利私欲を持たないことを挙げてました。
続いて自らの権限についての十分な理解とそれに捉われない柔軟性、魅力的な人間性、そして最後が決めたことを貫く鉄の意志ということでした。
地方議会に対する注文も多くありました。地方議会がもっと本来の機能を発揮する必要があるということです。学生の地方議会に対する採点は厳しいです。
議決権を持っている議会が良く審議し行政を監視することは当然のことです。学生はこれに加えて議会は公開性を持っていることに意義があるので情報公開を求めてます。
それと住民自治的案視点を大切にしてます。より住民との対話の機会を持つことで議会は変るということです。議員同士の討論も求めてました。
住民の意思表示の究極の機会とも言える住民投票について論じている学生も目立ちました。沖縄の最近の動向について述べている答案が眼を引きました。
昨年の2月22日に行われた与那国島の自衛隊配属についての住民投票が引用されてました。有権者は永住外国人を含む中学生以上の1276人でした。
賛成が632票で反対が445票でした。法的拘束力はない住民投票ですが学生は賛否で分断されてしまったことへの懸念を表明してました。
また外交・防衛は国の権限であることを大前提としながらも沖縄県民一人一人に政府の意思が届いていない現状を認識する必要があると問題提起してました。
政府の地域住民との対話を促して答案を締めくくってました。沖縄の問題に深い関心を持ち良く調査した答案でした。199人の答案のうちで一番印象に残りました。