学生に学ぶ町づくり2

間もなく東日本大震災から5年です。人は忘れっぽいですので学生の間にも無関心が徐々にまん延しているのではないかと思いつつ学生たちの答案を読みました。

福島をテーマに選んだ46人の学生の答案でほぼ共通していたのは脱原発の指向が強いことでした。若い世代の傾向かどうかは不明ですが少なくとも答案ではそうでした。

福島県こそ脱原発のモデル地域となって再生を果たして欲しいと願っている答案が目立ちました。福島県はこうした若い世代の思いに応えて欲しいです。

福島県では「イノベーションコースト構想」と呼ばれる産業振興策が大々的に打ち出されています。原発の廃炉にロボットが必要なのでロボット産業を興すのが柱です。

確かに人が近づけないエリアでの作業にはロボットしかありません。逆転の発想で超危険な地域に突入できるロボットを開発できる技術は最先端といって良いでしょう。

しかし、こうした取り組みは明らかに国策です。国が自らの責任として取り組むかどうかです。現状は中途半端のように見えて仕方がありません。

学生たちは廃炉ロボット開発による地域振興には戸惑ってました。必要性は理解するものの夢がないという意見が多かったです。暗い産業ということです。

一概にそうとは言えません。原子炉の廃棄に活用できる最先端のロボット技術を他の民生用のロボット開発に応用できる仕掛けがあるかどうかで変わります。

国家としての産業政策に位置付けて政府自らが本格的に乗り出さないとこうした政策の推進力は生まれません。答案を見ながら国家プロジェクトに出来るかが課題だと思いました。

学生たちはロボットに資金をつぎ込むだけではなく教育や子育て支援など福島を担う次の世代への投資を充実させるべきだとの意見も多かったです。全く同感です。

かの橋下徹前大阪市長の大阪都構想は大阪の未来を切り開くかどうかを問うたところ45人の学生が応じました。期待半分、懐疑的な学生が半分といったところでした。

若い世代は橋下前大阪市長のようなスタイルを歓迎しているのかと思っていたら必ずしもそうではありませんでした。構想の中身を調べた学生は計画がずさんだとの意見を持ちます。

橋下前市長は当初は大阪都構想の行政効率化の効果は絶大だと宣伝していました。しかし試算してみると効果は余りなくむしろコストの増加が判明しました。

橋下前市長は戦術を変えて改革を推進するのかどうかという一般論に力点を置きました。住民投票でも構想の中身より橋下前市長の改革路線を選ぶか否かの投票になりました。

学生も激しく争点をクローズアップさせながらメディアを最大限活用して押しまくる橋下前市長のやり方に驚き評価するとともに懸念も見せていました。

英雄待望論ともっと地道に地に足をつけた議論をすべきだとの王道論が交差している感じでした。私は基本的に後者の立場です。狂気だけでは独裁政治に陥ります。

狂気はあくまでも味付けであって本筋ではありません。橋下政治の危うさはここが逆転していると見えるところです。危険性を感じている学生が一定数いることが判りました。