「足柄の歴史再発見クラブ」10周年の集い
20日「足柄の歴史再発見クラブ」の10周年記念の集いがありました。クラブの会員や郷土史に関心がある皆さん33人が集まりここまでの歩みを振り返りました。
「足柄の歴史再発見クラブ」の最大の仕事は足柄歴史新聞『富士山と酒匂川』の刊行です。富士山の宝永噴火から300年の2007年3月のことでした。
来賓の開成町教育長の鳥海均さんが『富士山と酒匂川』を活用した出前授業を高く評価していました。クラブのメンバーが自ら学んだ成果を子供たちに伝えています。
小学4年生が郷土の学習をする学年です。開成町にある二つの小学校では、クラブのメンバーが先生となって野外に出て富士山の噴火と復興の歴史を学びます。
鳥海教育長は他府県から赴任する先生が増えていて『富士山と酒匂川』の出前授業は先生にとっても地域を知る貴重な機会であると話していました。
開成町は教育の町づくりをイの一番に掲げています。こうした出前授業をより充実させて町全体で教育に関わって行く町づくりを進めて欲しいと思います。
前会長の佐久間俊治さんがこれまでのクラブの足跡を振り返る講演をされました。火山の国際学会にも参加しました。中国の治水神・禹王の再発見もありました。
酒匂川の治水の現状を知るための写真展もありました。女優の藤田由弓子さんの指導で富士山噴火の時代劇も創作しました。禹王の故郷中国との交流も始まりました。
お話をうかがっていてよくぞここまでやられたと感心しました。佐久間さんは齢80歳の年齢ですがお元気です。知的好奇心と行動力が元気の源です。
私にも挨拶の機会がありました。佐久間さんの話題から話しを始めました。ご自宅にいつ電話をしても奥様が「今日もいません。」といわれます。
「今日は」ではなく「今日も」と言われます。ふらふらとどこかに遊びに出かけているに違いないと思っていたのですが発表の準備をされていたと納得したと話しました。
佐久間さんも元々は大手生命保険のサラリーマンでした。定年退職後、富士山噴火の郷土史に関心を持たれ勉強を始められました。素人です。
素人がねじり鉢巻きで地学の勉強を積み重ねて『富士山と酒匂川』では富士山の成り立ちを解説するページを担当されました。素人だから判り易い書き方です。
クラブの他のメンバーも大半が素人です。素人の強みが逆に出ました。専門家にはない新鮮な驚きを感じ取る能力があります。自信を持って欲しいと話しました。
「足柄の歴史再発見クラブ」は確かに町を興す原動力となる活動を続けています。小さな取り組みの積み重ねが国際交流にまで広がって来ました。
治水神・禹王は、中国、台湾、香港、韓国、東アジア全体に広がっています。禹王を通じて東アジアを分母とする交流が目の前に広がっています。
特に関係が悪化している中国との交流は意義あると思います。文化を通じて互いの共通性と違いを理解することは争いを止める力となります。
私は「足柄の歴史再発見クラブ」の皆さんによる噴火と治水の歴史を学び後世に伝える活動、中国との交流を応援して行きます。次の10年が楽しみでなりません。