開成町庁舎建て替え問題について意見表明2

開成町役場

(開成町役場 ウィキペディアより)

まちづくり町民集会での開成町庁舎の建て替えをめぐるやり取りで一番印象に残ったのは町内のある自治会幹部の方からの意見でした。建設費の抑制を求めていました。

自治会で活用している建物が古くトイレが男女共用であるためトイレの新設を町に要望したところ予算がないということで却下されたということでした。

トイレの新設の費用は300万円程度でした。庁舎の建て替えには20億円近い費用がかかると想定されていますので1パーセントでも2000万円になります。

トイレが男女共用などということは時代に合わないので立て替え経費を節減して町民が要望しているこの種の事業予算を確保して欲しいというのが発言の趣旨でした。

町議会が庁舎建設に関して行った県外の視察の内容にも触れられるなど良く調べられた上での至極まっとうな意見でした。町当局は重く受け止めて欲しいと思いました。

この発言者は庁舎建設に関わる財源問題にも言及されてました。建設のための積み立てが少なく借金に多くを依存せざるを得ない現状に対して違和感を示していました。

町のホームページで示された建設費用の大まかな想定は20億円です。原資は、公共用地の売却などの手当てを講じても5億円程度が限度ではないかと私は推測します。

庁舎建設費用を切り詰めて15億円程度にしたとしても3分の2が借金ということになります。このバランスは決して望ましいものではありません。

開成町の場合は町南部地域の開発が進みそのための経費がかさんだ上に新設の小学校の建設事業もあって庁舎の建て替えのための積み立てにまで手が回りませんでした。

こうした事情から私が町長の時は、庁舎はあきらめ先送りしました。ところが私が町長を辞めた2011年の3月に東日本大震災が発生しました。

府川裕一町長は、大災害の時に強固な拠点が必要だということで庁舎の建て替えに踏み切る方針を固めて4年余り検討を続けた結果、今回の提案に至っています。

府川町長の思いも十二分に理解できます。しかし一方で借金に頼って建設を進めるのは本来の姿ではないとも思います。悩ましいところです。

集会では私自身の体験を述べました。私が町長に就任した1998年の2月段階では、直前に進められた大型の公共事業の借金の返済が毎年度の予算を制約していました。

福祉会館と酒匂川の河川敷に建設したスポーツ公園でした。いずれも町民に喜ばれている施設です。しかし当時の高い金利での借金は重かったです。

こうした財政事情があったためこのままではまずいという気持ちに駆り立てられて最先端企業の研究所の誘致への促進材料ともなりました。逆境がばねになったともいえます。

現在は金利がほとんどゼロですので事情は違いますが資材や人件費の高騰もあります。庁舎建設に関する財政計画はよほど厳密に組み立てなければなりません。

私の意見表明に対し府川町長は長期的な返済計画もきちんと示して理解を得ると言明しました。多くの町民が心配する点だと思いますので万全を期して欲しいです。