地域資源が豊富過ぎる危機を超える。
小田原市内の経済人の勉強会から小田原市と南足柄市の合併問題が浮上したことを踏まえて県西地域の未来像について考えを聞かせて欲しいと依頼されました。
資料作成にため小田原市を中心とする県西地域を改めて見渡してみると日本有数の立地条件にあることが判ります。人口減少が信じられない思いがします。
政府は2015年の国勢調査の速報値を発表しました。前回調査との比較を神奈川県内の市町村で見ると減少数で小田原市は4153人で横須賀市に次いで2番目です。
神奈川県西部地域では唯一開成町の人口が伸びていて増加率4.0パーセントは神奈川県内でトップでした。この国勢調査の結果は何を意味しているか考える必要があります。
開成町は6.55平方キロと県下最小面積の町で周辺市町に比べて地域資源に恵まれた町ではありません。長期に渡る計画的な町づくりによる効果が今現れています。
かつて水田農業の町であった徳性を活かして水田の形状を整えてあぜ道にあじさいを植えて公園のような環境を整備するなど地域資源を創り出してきました。
一方で都市計画に基づいた住宅地開発を徐々に進め良好な住宅地を提供することで人口増加を果たしています。子育て世代も増えて子どもの数の割合が高いのが特徴です。
元々の地域資源が乏しいので長期展望に立って地域資源を創り出して町作りを進めてきたことになります。ピンチをチャンスに変えたと言って良いと思います。
しかし地域資源が有り余るほど豊富ですと逆にどこから手をつけて良いのかが混乱し中途半端な計画が目白押しになってしまうきらいがあります。
全体のグランドデザインが確立していない中でそれぞれのプロジェクトが進行し結果としてパッチワークのような町づくりとなってしまい経済効果が出にくいことになります。
神奈川県西部地域の中心地小田原市の町づくりにその傾向があるように見受けられます。経済的条件はとてつもなく恵まれていることは一目瞭然です。
世界や日本各地から訪れる観光客を小田原へと定住を促す条件は完璧です。足らないのは人口移住を実現するための徹底した都市計画と推進する指導力だと思います。
小田原市クラスの都市となると開成町のような小さな町のように単純には行きませんが方向性は同じです。地域資源を活かしてイメージを売り定住へと結びつける手順です。
豊富な地域資源のリニューアルを図る必要があります。出来れば大胆な方向に歩み出して欲しいです。シンボル小田原城の天守閣の木造化は興味津々です。
財源がないということであきらめる必要はないと思います。まずは三次元のコンピューターグラフィクスを活用してバーチャルで再現することから始めることも可能です。
こうしたイメージ戦略と並行してモデル的な住宅開発エリアを設定して安全で緑豊かな住宅地を民間資本を活用して開発して行けば瞬く間に売れると思えてなりません。
大規模な工場の転出の話も聞こえてきます。ピンチはチャンスです。小田原らしい住宅地を創造する絶好の機会です。是非チャレンジして欲しいと思います。