古民家瀬戸屋敷、初代館長勇退
地元開成町の歴史を象徴するかやぶき屋根の古民家瀬戸屋敷が再生し開館したのは2005年5月。町制施行50周年記念事業でした。初代館長は川澄暹(のぼる)さんです。
私が町長の時、開成町の中学校の校長先生を3年務められました。荒れていた中学校が収まりました。川澄さんの手腕に驚いたのが登用のきっかけでした。
川澄さんは力づくで抑え込むスタイルとは無縁の方です。演劇の経験もある物静かな感じの方です。絵画を通して生徒たちにメッセージを送り続けました。
チョークで黒板に絵を描く名手でした。チョーク絵に載せて校長先生の思いを伝えました。生徒たちに通じたのでしょう。荒れた中学校は過去のものとなりました。
古民家の再生にぴったりの方だと直感しました。川澄さんに教育委員会のスタッフに入ってもらい古民家再生の準備に入りオープンへとこぎ着けました。
瀬戸屋敷の歩みをまとめた冊子があります。5年ごとに発行しています。表紙を飾っているのは川澄艦長のチョーク絵です。古民家の姿を描いたものとあじさいです。
瀬戸屋敷のスローガンは「みんなの我が家」です。その言葉通りのほのぼのとした温もりに包まれているチョーク絵です。絵葉書にもなっています。
川澄さんを引き継いで二代目館長に就任するのは瀬戸屋敷の立ち上げに獅子奮迅の働きをした元開成町役場の担当職員の瀬戸公雄さんです。
瀬戸さんがいなければ瀬戸屋敷の再生はありませんでした。精魂込めてという働きぶりが印象に残っています。退職後しばらくの間外から瀬戸屋敷を見てきました。
役場職員としてでない視点も必ず役に立つと思います。瀬戸さんは自ら農業もしています。農業の保全と瀬戸屋敷に果たす役割を考え新たな展開をして欲しいです。
もう一つ朗報が飛び込んできました。開成町役場で瀬戸屋敷を含めてあじさい祭りなどの担当で走り回っていた現役職員が結婚の報告に新妻を連れてやってきました。
驚くとともに安心しました。同僚や後輩に彼女を紹介してばかりいて本人はなかなか見つからない状態が続いていると聞いていたからです。
2011年3月開成町長を退職する際に唯一の気がかりはこのたび結婚の報告に来た職員が独身であることだと述べたほど気にかかってました。
別の職場を経て現在瀬戸屋敷を所管する職場に戻っています。瀬戸公雄新館長とコンビを組んで瀬戸屋敷の未来を切り開いて欲しいものです。
10周年の記念冊子の最後にこれからの瀬戸屋敷周辺の整備計画が掲載されてました。「郷のいえ」という新たな交流の施設を建設する計画になっていました。
川澄館長は編集後記に「景観は保全しながら農業や伝統的文化や田園という環境を体感する中心的施設になって行く必要がある。」と書かれていました。
全くその通りです。新たな施設の建設にあたっては川澄館長の思いを忘れることなく地域の人たちとも良く連携し入念に計画を練って行って欲しいです。
とかく直ぐに形にしようと施設整備優先に陥りがちです。そうではなく維持管理の含めてどのような運営が望ましいかじっくり議論して行き新たな展開を目指して欲しいです。