ふるさと納税を考える。

少し古い記事になりますが3月19日付の朝日新聞にふるさと納税についての賛成反対双方の立場からの意見が掲載されました。読み応えありました。

テレビの場合は、議論の本質ではなく出演者の一挙手一投足から受ける印象にも左右される上に賛成か反対かの結論だけの紹介に終わるケースがほとんどです。

これでは単なる二項対立に陥ってしまい解決への糸口は見つけにくいです。その点新聞は議論の素材を整理して伝え論点を深く読者に理解してもらうことができます。

ふるさと納税の記事をめぐっては北海道上士幌町長と若きまちづくりアドバイザーが紙面で議論をぶつけあっていました。対立点はとても明快です。

上士幌町長はふるさと納税という国の制度が出来た以上最大限に活用して乏しい財源を補うのは当然であり出来る限り納税を促す知恵を絞るのは妥当だとしています。

売りは地元産の牛肉です。およそ15億円以上のの寄付があり3分の1の5億円が税収となるというのですから財政を支える基幹税と言っても良いほどです。

自主財源の徴税は7億円だというのですからふるさと納税の貢献度が判ります。返礼品の牛肉などを生産する畜産農家までをも潤すのですから町としては大歓迎です。

面積700平方キロです。人口は4800人。農業の町の財政は地方交付税交付金と言って国から補填される財源がなければやっていけません。

ふるさと納税という新たな仕組みが出来て寄付による財源確保ができたことで子育て支援や教育の充実へと政策展開が出来るようになりました。

若き町づくりアドバイザーはふるさと納税の寄付を活用して新たなサービスを充実させる危険性を鋭く問いかけます。寄付はあくまでも臨時収入であると言うのです。

この若き町づくりアドバイザーは地方はもっと儲けることに知恵を絞れという主張の著書があります。その方が寄付による財源確保に異論を唱えているのです。

寄付がいつ途切れるか判らないではないかというのです。全くその通りです。返礼品の競争力がなくなってしまえば制度だけは残り財源に穴があくことになります。

過度な返礼品サービス競争に地方自治体が巻き込まれることにより地方自治体が人口減少時代をどのようにに理切るかという本本当の課題から目をそらしてしまうと指摘します。

税制度として観てもお金の余裕のある人だけが様々な商品やサービスを得ることが出来る仕組みは違和感があるとも述べています。不公平な税制だということです。

両者の主張ともに説得力があり考えさせられます。上士幌町長の財源確保に向けての必死の努力は痛いほど理解できます。一方の堂々とした正論もずしりと響きます。

ふるさと納税は今年度から企業も対象となり拡大の一途です。しかし、あくまでも便法、補助的な財源という本質を忘れずに対応する必要があります。

いずれにせよ地方自治体の自己責任です。突如として寄付が減少したからと言って国に泣きつくことは許されません。その責任の範囲内で対応することが大原則です。