野中広務先生より手渡された新聞記事。

17日京都で久しぶりに野中広務先生にお会いしました。90歳、今も事務所に顔を出されてます。京都駅近くのホテルでコーヒーをいただきながら懇談できました。

時間が余りありませんでした。野中先生から私の現在の気持ちはここに書かれているから後で読んでくれと一枚の新聞コピーを渡されました。

4月10日付の朝日新聞の「現場通う90歳 後進に託す平和」という解説記事でした。野中先生は1995年の地下鉄サリン事件の時の自治大臣、国家公安委員長でした。

オウム真理教に対する捜査に警察の連携不足があったことから大事件を引き起こしたとの思いもあり3月20日の慰霊の日には献花を続けていられます。

今年も献花を行ったことから記事は書き始められていました。そして現在の安倍政権の政治姿勢について筆が進みます。野中先生は評価していました。

厳しく批判すると思い込んでいただけに読んでいて意外感を持ちました。一次政権の時に比べて命がけの気持ちが伝わって来るとと語っていました。

良く良く考えてみますと野中先生はかつて自民党の最高の実力者の一人として辣腕を振るった方です。大先輩らしい安倍総理への眼差しなのかもしれないと思いました。

野中先生の本当の本心はその後にあると思います。安倍総理が集団的自衛権の行使容認に深い疑問を呈しています。戦後70年守ってきた根本が崩れると危機感を訴えています。

そして最後に記事は「憲法9条だけは変えてはいけない。血塗られた日の丸を見るのは私たちの時代だけで結構だ」と結ばれていました。肚の底からの言葉だと受け止めました。

私が憲法9条を守るべきだと思うのは、死守することが全てを解決するとの情緒的な考え方からではありません。冷徹な国際政治においても有利に作用すると思っているからです。

逆説的に聞こえるかもしれませんが憲法9条は平和国家日本の最強の武器です。核兵器を保有して自衛力を高めるなどという意見がありますがこちらの方が強力です。

憲法前文や9条に書き込まれた国際社会が目指すべき理想を掲げ続けたことは日本国民の中に平和への強じんな意思があることの証明です。世界に冠たる偉業です。

しかもその理想の旗は、そもそもアメリカによって日本に持ち込まれたところに意味があります。アメリカが力の政治に傾斜する時の歯止めとなります。

アメリカは理想主義の国です。原点を思い起こさせるこれ以上ない道具です。美しい理想を日本にもたらしたのはあなたたちではないかという一言は重みを持ちます。

また、アメリカに対抗しようと台頭する中国が覇権を握ろうとする時も同様です。憲法9条を背景にして路線の過ちを突くことが可能となります。

憲法9条をいじることは平和国家日本の根拠を失うことにつながり日本を漂わせることにつながります。憲法9条は国際政治の混乱をしのぐパスポートだと思います。