熊本地震と市町村合併、熊本市の政令指定都市化を考える。

熊本地震発生以来、政府の発奮ぶりが盛んに報道されます。安倍総理大臣の「万全を尽くす。」との決意表明が繰り返し報道されます。

九州新幹線の博多熊本間の営業運転再開に向けての広報も国土交通大臣から情報発信されました。JRは民間企業なのに国鉄時代に戻ったのかと思うほどです。

国と地方自治体の発信力の格差を強く感じます。熊本県知事や熊本市長を始め地方自治体のトップがどのような対応をしているか関東に居る私たちには余り伝わりません。

被害の実態把握や被災者への対応に全精力を注いでおり情報発信や首長が前面に出た政府への働き掛けは行っている余裕がない状況なのかもしれません。

結果として政府レベルを発信源とする報道と地方自治体が発信する情報量の極端な格差が生じてしまっています。自治体は何をしているかという疑問も浮かびかねません。

地震の発生から時間が経過していませんので安直な結論は避けなければなりませんが私には政府と地方自治体の情報量格差の背景には構造的な問題があると思えてなりません。

熊本県における県と市町村、また市町村間の役割分担の在り方が市町村合併や熊本市の政令指定都市への移行によって変動している中で地震が発生したと見ています。

熊本県は平成の市町村合併が大きく前進した地域です。94あった市町村が45に減少しています。区域の拡大は広大な面積を有する地方自治体の誕生となります。

規模拡大に伴うだけの人員体制の充実が伴うことは稀で逆に効率化が進むのが一般的です。山林地域の情報収集には手間取る可能性があります。

熊本県の人口は178万人ほどです。このうち熊本市は74万人の人口で他の市町村を圧倒しています。熊本市は2012年4月に政令指定都市に移行しました。

政令指定都市とはほぼ県と同等の権限を有する大都市のことで全国に20あります。最大の政令指定都市は横浜市です。人口は370万人という巨大さです。

熊本市は神奈川県相模原市とほぼ同じ人口規模です。熊本県の面積の5.3パーセントにおよそ41.5パーセントの人口が集中している計算です。

県と政令市との関係はどこも微妙です。同等の権限を持つことで調整が難しいのです。判り易い言い方をすればぎくしゃくすることが良くあります。

今年三月に行われた熊本県知事選挙はキャラクターくまもんを誕生させた現職知事に対し前の熊本市長が挑む選挙となり現職知事が圧勝しました。

このような選挙戦になった背景には、熊本県と政令市になったばかりの熊本市と間で県のあり方を考える視点の再いが存在した見のではなかとも見えます。

熊本市も政令市となったためにこれまでの行政区域を再編し五つの区を設置しました。熊本市内部においても新たな区制の定着にはまだ時間がかかる段階だと推測します。

地方自治体の体制変革が定着するには時間不足です。政府と比較して情報発信力で圧倒的な差が着いてしまっている原因ではないかと思います。検証が必要です。