「協同の力で地域を創る」には首長の指導力が不可欠。
24日の日曜日、小田原市民会館で「協同の力で地域を創る」というタイトルの討論会が行われました。小ホール超満員でした。400人は優に超えていました。
会を企画したのは、小田原をはじめ神奈川県内で農業や福祉、自然エネルギーといった様々な分野で市民や働くものの協同事業を展開しているグループです。
会の盛況ぶりを見ますと効率化一辺倒で進んできた日本の経済社会が完全に曲がり角に来ていて新しい社会のあり方を求めてうごめき出していることを示しています。
全体会は、「相互扶助の文化と経済が拓く、持続可能な地域づくり」をテーマとする加藤憲一小田原市長と京都大学教授の広井良典さんの対談でした。
広井さんは互いが支え合って地域の共同体を活性化させる新たな日本の経済社会のモデルを提示している著名な学者です。「定常型社会」という用語も発案されました。
広井さんの話の中に二宮尊徳先生が出てきました。二宮尊徳先生は現代風にいえば地域再生コンサルタントといえる実践家であると強調されていました。
同時に哲学者、思想家でもあり現代に通用する思想を唱えていたと言われてました。哲学、思想の深みを持ちつつ実践にまい進した人物ということになります。
そして登場した加藤市長はかねてより二宮尊徳先生への尊敬の念を様々な場面で語ってきました。深い思索に裏付けられた実践を熱く語って欲しいと期待しました。
しかし大半は美しい言葉がよどみなく流れる抽象論で終わりました。「協同による地域創り」は、加藤市長が就任以来一貫して追い求めてきたテーマなのに残念です。
間もなく行われる小田原市長選挙で無投票当選が確実視されている加藤市長ならば、これまでの実践の成果とその背景にある考え方を具体に述べられるはずです。
「協同の地域社会」の実現に賭ける気迫が不足していると思いました。神奈川県外からも多くの参加者がいられました。小田原市長の思いを熱く語るべきでした。
私は第4分科会のパネリストとして参加しました。「人口減社会を希望に」というテーマでしたが直前に変りました。新しい地域づくりになりました。
小田原市内の各地域で自然エネルギーによる地域創り、林業の再生、里山保全といった様々な活動を実践されている方々の発表がありました。
よそ者、若者、馬鹿者が揃っていました。小田原には素晴らしい人材が地道ながら未来を先取りした活動を繰り広げていると羨ましく思いました。
課題はこうした人材が躍動するための施策は十分かです。住民の自発的な動きだからといって腕組みして見守っていては、活動はじり貧になりかねません。
二宮尊徳先生の考え方を現代風に実践している人材が至るところにいるのです。その力を活かすも殺すも加藤市長のリーダーシップ次第です。
かつて小田原藩は二宮尊徳先生の改革を受け入れることが出来ませんでした。二宮先生は小田原ではなく別天地でその思想を実践されました。
再び同様の愚行を犯してはなりません。小田原には現在小さな二宮先生が頑張ってます。この力を結集すれば小田原が新しい経済社会のお手本となります。