富士山噴火、酒匂川流域の対策、急務。

2016/ 4/24  6:27

「富士山と酒匂川流域 噴火と減災を考える会」が23日正式発足しました。二宮尊徳先生の生家の隣の尊徳記念館で記念講演会を開催しました。

呼びかけ人の足柄の歴史再発見クラブ会長の小林秀樹さんより小学生向けの副読本「富士山と酒匂川」の刊行とその後の小学校への出前授業などについて発表がありました。

続いて同じく呼びかけ人のかすみ堤を守る会の井上三男さんより、堤防が連続でなく切れていて二重堤防の構造となっているかすみ堤の意義について発表がありました。

井上さんは「小田原・足柄地域を主題とする学生の卒論に学ぶ会」の主宰者で、学生が制作した酒匂川上流部の三保ダムが決壊した場合の映像シミュレーションを紹介しました。

メインゲストは静岡県小山町の前危機管理監の新井昇さんです。新井さんは元自衛官で2010年9月の酒匂川上流で発生した記録的豪雨への対応で大活躍されました。

富士山噴火についても迅速な対応を進められていて「富士山火山防災協議会」のハザードマップに基づいて避難計画を策定が済んでいます。

特筆に値するのは行動計画の住民に対する説明の丁寧さです。富士山の噴火に対する避難計画は富士山を仰ぎ見てどの位置に位置するかによって異なります。

小山町では地域別に避難計画を策定し各地域ごとに説明会を実施しました。新井さんらが2013年度に各地域に37回足を運び徹底したということです。

講演では詳しくは触れずにさらりと流されていましたが本当にものすごい使命感だと思いました。新井さんのような人材がいることが大きな防災対策だと思いました。

新井さんの話を聞いていて背筋が寒くなりました。富士山の噴火には石が飛んでくる噴石、溶岩が流れてくる溶岩流、細かい砂が堆積する降灰が一般には知られます。

もう一つ融雪型火山泥流というのがあります。噴火の熱で富士山の雪が解けて大量の水と土砂が一体となって高速で流れ下る現象です。

富士山の東に離れた所に位置する足柄地域と小田原地域では1707年の宝永噴火の記録から噴火の砂により被害とその後の洪水のことばかりに目を奪われてました。

火山泥流は酒匂川上流に流れ込みます。冬の積雪時期に噴火があったとするならば土石流が流れ下り酒匂川流域に大被害をもたらす可能性があります。

噴火の場合はまず屋内待機です。噴火の砂が30センチ以上堆積した場合は木造家屋が倒壊するとして小山町では避難を決めています。マスクとゴーグルが必需品です。

想定では静岡県に隣接する山北町や南足柄市では50センチ以上、開成町や小田原市でも30センチ以上の降灰があるとされています。深刻です。

富士山噴火に対する対策は静岡県や山梨県は進んでいます。神奈川県の出遅れが顕著です。県と関係市町村が一体となって大至急取り組む必要があります。

噴火の前に地震が発生したのが300年前です。こうした複合型の大災害となったとしたら混乱は必至です。平時のうちに冷静に備えないとなりません。