「連帯を求めて孤立を恐れない」生きざま。

2016-05-21 14-02-39

先週の土曜日、21日、東京・一つ橋の日本教育会館で提言討論会がありました。テーマは、「参議院☆選挙の真の争点は何か。」でした。

主催は、革新から保守まで幅広い勢力の結集を目指す「自主・平和・民主のための広範な国民連合」です。メインゲストは、元防衛官僚の柳沢協ニさんでした。

柳沢さんは、小泉純一郎政権時代に内閣官房副長官補を務めました。自衛隊をイラクへ派遣する際には、実務的責任者を務めた経験があります。

政府の防衛政策のど真ん中にいた柳沢さんは安倍政権の防衛政策には真っ向から異論を唱えています。集団的自衛権の行使容認は亡国の道だという考え方です。

討論会でもこうした立場から提言されてました。日本は力づくの平和か、和解の平和かの選択が問われていて主権者たる国民が決める事柄であると訴えてました。

国家像の選択でもあり、アメリカという他人の戦争に関わる大国の道を選ぶのか、それとも知恵を使う道を選ぶのかとも言われてました。

南シナ海でアメリカと中国が覇権争いをしており、日本がアメリカのお先棒を担ぐ国家になってしまうのではないかという危機感があるからだと思いました。

尖閣列島の問題は双方の国家の威信と主権の問題であって集団的自衛権の行使といった国際紛争と混同して考えることに注意喚起してました。

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一番印象に残ったのは「老人が始めた戦争で若者が死ぬことは正義か?」という問いかけでした。戦争になり戦闘に出向くのは大半は若者です。

政治家は何のために死ぬのかを語る責務があるとも言われてました。日本人は戦争を忘れ過ぎていて主権者は他人事としか見ていない現状を懸念してました。

私は、柳沢さんと共通の認識を持っています。しかし、考え方は、様々です。私は、柳沢さんのような経歴の持ち主が政府の方針に異を唱えることにう着目しました。

討論会でコメントを求められました。私は柳沢さんと旧知であることを紹介しました。私がNHKの防衛担当記者をしていた時の防衛庁(現防衛省)の広報課長でした。

広報課長は将来の防衛庁の中枢を約束されているポストです。防衛エリート官僚だった柳沢さんが信念に基づいて安倍政権の防衛政策を批判している点に関心があります。

柳沢さんの出身母体の役所は柳沢さんの言動に冷たい視線を投げかけているに違いありません。それでも主張を曲げずに立ち向かっている姿勢に大きな価値を見出します。

かつての仲間から孤立しても、このままでは日本の進路が危ういという湧き出る危機感が勝り、そうした行動を取らせているのだと思います。

国民は平和を志向するはずだという確信があるのだと思います。その思いがあるからこそ仲間からの孤立の恐怖感を乗り越えられると思いました。

ある詩人の言葉を思い出しました。「連帯を求めて孤立を恐れず。」。谷川雁の言葉です。柳沢さんの今の言動に、ぴったりはまります。

柳沢さんは、全体主義的風潮が強まっている今日稀有な存在です。異論を唱えにくい空気感の中で異を唱え続ける勇気を学ぶ必要があります。